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巻頭特集青江住宅展示場移転先に「藤田」

来春オープンへ急ピッチで準備 1年切りようやく決着へ

  • ハウジングスクエア青江(上)と藤田の計画地

 土地所有者の変更に伴い来年2月いっぱいで閉鎖が決定している総合住宅展示場「ハウジングスクエア青江」(岡山市北区青江2-2-1、岡山県総合住宅展示場実行委員会主催、山陽新聞グループ運営)の移転先として「藤田案」が急浮上した。立地、敷地規模ともに恵まれていた青江に比べると見劣りはするものの、タイムリミットが迫る中で、「岡山市中心部をカバーする集客装置は必要」という住宅メーカーは「やむなし」との判断になりそうだ。

難航した移転先探し

 ハウジングスクエア青江は、国道30号沿いで、周囲には国道2号バイパス、県道岡山港線が通る交通アクセスに恵まれた好立地。1万5768㎡の敷地に住宅メーカー13社が15棟を展示し、駐車場は約200台収容と、県下でも充実した内容の総合住宅展示場となっている。

 ところが、用地を保有していた(財)県開発公社が、県の財政改革で2009年6月末に解散したことに伴い、保有資産として同用地を処分。同展示場に隣接する岡山赤十字病院(同区青江2-1-1、忠田正樹院長)が、約19億7000万円で取得し、新館を建設することとなった。

 同展示場の契約期間は12年3月まで。山陽新聞グループでは代替地探しにかなり難航したようだ。中心市街地とその周辺には、15棟規模の住宅展示場に適したまとまった土地はなかなかなく、今年に入ってからも期待されていたJR岡山駅西口の遊プラザ用地も岡山市が設定する防火地域の制限によりとん挫。急きょ岡山赤十字病院に1年間の継続使用を申し入れたが断られ、2月に入って藤田案が浮上。3月にようやく説明会が開かれたという。

現展示場から2.5㎞の藤田

 藤田展示場が計画されているのは、同市南区藤田673の山下木材岡山営業所用地。国道30号を南下し笹ケ瀬橋を越えてすぐ左に立地する。敷地面積は約7600㎡。展示棟数は15棟以内で、駐車台数は約100台という。

 青江展示場から約2.5㎞と近く、将来的には外環状線が整備され交通アクセスはさらに向上する見込み。また、新たな住宅建築が期待できない最中心部に比べ、新築需要に増加の余地がある市場に近い展示場ととらえることもできる。

 ただ現在青江展示場に出展するメーカーからすれば、どうしても比較してしまうこととなり、計画説明以降も紆余曲折があったようだ。

 当初の説明会で提示された案では、展示棟数15棟、駐車台数30台。青江全棟の移転を想定しつつ、山陽新聞グループは、棟数が減少した場合、既存メーカー以外からも出展を募る方針を示していた。

 これにメーカー側が反発。少なくとも1社に撤退、1社に棟数削減の姿勢がうかがわれていたため「棟数が減った場合はその分イベントスペースや駐車場に充ててほしい。今の提案内容では十分ではない」との声が上がった。青江と比べ不安がある集客力をカバーするためにイベントがこれまで以上に重要になるとの読みからだ。

 また、出展料についても好立地で規模も十分な青江が月110万円だったのに対し、わずか10万円低い同100万円という設定が議論の対象となった。

 これを受け、山陽新聞グループは、4月28日に開いた第2回目の説明会で、既存メーカーから13棟以上の出展を確保できた場合、追加募集は行わない一方、出展料は100万円とするなど、棟数を基準に複数の案を提示。駐車場も国道30号を挟んで向かい側の土地に駐車場を確保。大幅な台数増を図る方針を示した。

 2棟減少が確実視されるなか、「13棟以上15棟未満、新たな募集はせず出展料は当初の案の設定で据え置き」に落ち着くと見られている。5月13日を締め切りとして出展の意向を確認中で、棟数が固まってから、契約期間などの調整を開始。6月に区画の抽選が行われるもようだ。

 ただ、住宅メーカーは完全に満足しているわけではなく、「藤田はつなぎの認識」との声があるなど、さらに条件の良い展示場を山陽新聞グループに求める声も聞かれる。

恵まれすぎていた「青江」

 問題は青江の条件が良すぎたことにあるようだ。

 そもそも中心部の広大な敷地で月110万円という出展料は、地代が固定資産税程度だったため。藤田の月100万円は、相場から外れてはいないという。

 不安視されている集客も、山陽新聞グループ単独の展示場となる藤田では県の土地という縛りが外れ、より柔軟なプロモーションが可能になる。青江展示場では、主催の岡山県総合住宅展示場実行委員会にマスコミ各社が加盟。PRにも公平さが求められてきた。しかも、郊外への移転で地代が抑えられる分、PR予算は拡大すると思われる。同グループの企画力次第で、大化けする可能性があるというわけだ。

勢力図への影響は

 藤田への移転によるほかの総合住宅展示場への影響はどうか。
岡山市内の総合住宅展示場は、同展示場のほかRSKハウジングプラザ(岡山市北区撫川1575-1、25棟展示)、OHKハウジングPARK(同市中区浜597-7、9棟展示)、プレステージ城東(同市中区下126-1、10棟展示)。

 その中でも事業規模の大きい展示場を見るとRSKは、岡山市西部と倉敷市、OHKは、旭川以東の国道250号沿線を中心としたエリアと大まかに住み分けされている状況。

 このため、各展示場にモデルハウスを展示する住宅メーカーの多くが、影響はそれほど大きくないと見ているようだ。2006年開業したハウジングモール倉敷(倉敷市酒津1625-1)が、倉敷もエリアとするRSKの集客に影響を与えたケースもあるが、藤田の場合、あくまで移転だからだ。

 展示棟の誘致については、藤田展示場辞退が濃厚な住宅メーカーが「RSKの方が優先順位が高い」としているなど、一部で動きが見られる。しかし、OHKに空きはなく、さらに青江展示場に出展するメーカーのうち12社がすでにRSKに展示している状況では、あくまで限定的なものになりそうだ。

 一方、広告代理店に新たな住宅展示場開設への動きが見られる。藤田展示場の契約更新の際、周辺の環境変化によっては、今回以上の動きがある可能性もあるという。

依然重要度高い
総合住宅展示場

 数年前、景気低迷を受け来場者が減少する中、コストのかかる総合住宅展示場から単独展示場や分譲住宅、引き渡し前住宅などを活用した展示場にシフトする「脱総展」が注目された時期があった。しかし、最近その状況も変わりつつあるようだ。

 ミサワホーム中国㈱岡山支店(岡山市)の中西高喜支店長は、「新規客と接する仕組みとしては重要と再評価されている」と話す。同支店の場合、客との接点を見ると、総合住宅展示場が3割を超え、残りイベントが3割、入居者などからの紹介が4割。住宅購入の意思がある総合住宅展示場は営業戦略上欠かせない。

 また、分譲住宅、引き渡し前住宅の展示場活用は、別チャンネルとしての評価は高いものの、計画的な展示が難しく、特に入居前展示場は顧客の個人情報に関わる問題や、入居時期などのタイミングの問題から「展示場化できる物件は10%に満たない」という。

本誌:2011年5.23号 4ページ

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