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インタビュー・対談(株)アイビー副社長 芳中健二 氏

ベンチャーこそ生き甲斐 ネットワークをフル活用

  • (株)アイビー副社長 芳中健二氏

 バイオマス関連のユニークな事業を手掛けるベンチャー企業の(株)アイビー(玉野市)が注目を集めている。廃棄されていた籾殻を活用して超安価に有価物のシリカをつくろうという事業で、その発想は、県主催の「全国ベンチャービジネスモデルコンテスト」で見事グランプリを獲得した。その中心人物の同社副社長、芳中健二氏に聞いた。(聞き手:編集長 猪木正実)


 ―なぜベンチャー企業を起したのですか。
 平成11年9月末に三井造船を退職。体力、気力があるうちに自分のために何かやりたいと思いましてね。すぐ10月1日に会社を立ち上げました。造船時代には舶用ディーゼルエンジンの設計・製造や発電プラント、淡水化装置の製造を担当し、海外を飛び回っていました。造船時代は“鉄”ばかりに関わっていましたので、逆に鉄以外の事業をやってみたかったのです。

 ―ベンチャーをする場合、過去の経歴を生かすというのが1つの流れと思いますが…。
 それも1つのやり方ですが、私は全く別の分野に出ました。しかし、これまで培ってきた人脈とかネットワークは十二分に活用しました。創業後、色々模索する中でバイオマスに着目したのです。つまり、原料の安定した調達が可能で、しかもコストはゼロ、そして地球に優しいこと―などの3点を柱に試行錯誤し、農業系のバイオマスに行き着いたのです。

 ―具体的には。
 米の籾殻にはゴムやプラスチックの増量剤となるシリカという物質が20%含まれています。それを安価に抽出し日本のメーカーに供給しようというものです。籾殻を燃やすと余分な繊維質が消えシリカ95%の燃焼灰になります。さらに燃えかすを化学的なプロセスで取り去ると純度98%のシリカになるのです。造船時代のネットワークを生かし、インド国立科学技術院に調査を依頼したところ、技術的に抽出が可能と分かり、事業化を決めたのです。

 ―原料の籾殻はどこから。
 東南アジアです。しかも現地では籾殻を燃やした燃焼灰が山積みになっていたのです。我々から見ると宝の山です。一方で、こうして作った当社のサンプルのシリカを国内のメーカーに持参、実際に使ってもらうと、品質面でも市販のシリカと全く遜色ないことが分かりました。岡山県工業技術センターでの分析でも市販のものとほとんど同じでした。

 ―価格面ではどうですか。
 原料はタダ同然ですが、物流コストや生産コストはかかるため、それを抑えるため、現地に工場を造ろうと考えています。そうすれば価格を市販のものの60~70%に抑えられるはずです。

 ―昨年11月の岡山県主催の全国ベンチャービジネスモデルコンテストでグランプリに輝きましたね。
 ベンチャーで失敗するのは、自分の技術に自己陶酔し、売るためのマーケットリサーチが不十分なことが多いのです。ビジネスは入り口(原料調達)と出口(販売)をきちっとしておかないと成り立ちません。モデルでは、原料を安く安定して調達でき、出口の方は商社に依頼してマーケットリサーチしてもらいました。真ん中の技術の部分はさらに外部の専門家に頼みます。私はこれらを事業モデルとして組み合わせたのです。また、経営面での指数を試算する時は、途中不測の事態の発生もありますから、それに備え悲観的に見て手堅く見積もることが大切だと思います。

 ―現在の社員数は何人ですか。
 私を含め5人です。全員が三井造船の元社員で、それぞれ得意分野が違い、それぞれの分野で一流の能力を持っています。

 ―今後の事業計画は。
 品質を実証するための小型のパイロットプラントを研究施設のあるインドで年内に稼働させようと思います。来年には東南アジアに生産工場を立ち上げたいですね。

本誌:2004年10.11号 39ページ
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