WEB VISION OKAYAMA

インタビュー・対談三井造船(株)取締役玉野事業所長 屋鋪一樹氏

出荷額2000億円突破目前 身体で覚えた匠の技伝承

  • 屋鋪一樹氏

大正6年に玉野地区に立地し11月14日、創立90周年を迎えた三井造船(株)玉野事業所―。中国の経済発展などを背景に世界的な建造ブームが続き、多額の受注残を抱え活況を呈している。そうした中で、技の継承や経営基盤の構築など課題も多い。6月に新所長に就任した屋鋪一樹氏に聞いた。

(聞き手:編集長 猪木正実)


「船づくりに夢」

 もともと子供の頃から船が大好きで、よく模型を作っていました。東京大学工学部の船舶工学科に入学した頃、100万tタンカーなど巨大船が相次ぎ完成し、それを見て、自分も本格的に船を造ってみたいと思うようになったのです。昭和46年にこの会社に入社し、千葉造船所に配属されて以来、ずっと造船の現場一筋でした。巨大な鉄の塊が水に浮く、これは大きな感激ですよ。

「3年先まで受注残確保」

主力の5万6000t級のバラ積み貨物船を連続建造しており、受注残は60数隻です。これは3年先までの仕事を確保している量です。既に納入した分を合わせると計120隻になるヒット商品です。ディーゼルエンジン分野も高操業で、今年度は204台、480万馬力の生産量になりそうです。今年度の玉野事業所の出荷額は2000億円に届きそうで新記録達成かと期待しています。一方で、多忙な時こそ気を引き締めるべきで、品質と安全面を重視していきたいと考えています。

「造船規格の変更も後押し」

 世界的に見て船の需要は旺盛で、日本、韓国、中国がフル操業しても生産が追い付かないほどなのです。背景には、五輪を控えて開発を急ぐ中国や、インドの経済発展などで、海運業が活況になっていることに加え、船舶建造について国際的なルール改正があります。国際船級協会連合(IACS)が採択した共通構造規則で、船体構造を強化しようというものです。新基準対応船の受注のほか、旧基準で建造しようという“駆け込み”受注分もあるのです。

「匠の技、伝承に全力」

 ここ数年は技術を持った団塊世代の人たちが大量退職する時代に入っており、技術の伝承が大きな課題です。例えば鉄板を曲げる技術一つとってみても数値化が難しく機械に置き換えることはできません。鉄板は生き物で、理論よりも身体で覚えた匠の技が求められるのです。今年1月に設立した「技能伝承センター」などを通じて、若い人にスムーズに匠の技をつなげていくようにしたいと思います。

「次世代への基盤づくり」

 玉原地区に技術開発センターがあり、IT関連や先進技術の開発を進めています。本業の造船が安定的に推移している間に、次世代の事業の基盤づくりを進めたいと思います。

「地域との連携強化を」

 従来から地元の協力企業とは二人三脚でやってきましたが、今まで以上に連携を強化する方針です。玉野事業所のプロパー社員は現在1900人ですが、今後増員も検討し協力企業と協力して高操業を乗り切っていこうと思います。

(やしき・かずき)

本誌:2007年11.19号 25ページ
関連リンク:三井造船

PAGETOP