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インタビュー・対談アイサワ工業(株)社長 逢澤寛人氏

地元岡山での営業強化図る 技術力で入札新制度に対応

  • 逢澤寛人氏

地場建設業大手のアイサワ工業(株)(岡山市表町1-5-1、資本金15億5000万円)の新社長に、8月23日付で副社長だった逢澤寛人氏が就任した。公共投資の縮小で建設市場は全国的に縮小。受注競争の激化や入札制度改革の本格化など、業界を取り巻く環境は厳しい。その中で生き残りをかけ、どう経営の舵取りしようとしているのか、新社長に聞いた。

―社長就任の感想は。

 就任当初は割と気楽な気持ちだったが、3カ月経つにつれて徐々にプレッシャーを感じるようになった。それまでは営業畑がメーンで営業部門のことしか見なかったけれど、社長になって会社全体を見るようになり、改めて大変だと思うようになったからだ。

―建設業を取り巻く環境はどうか。

 土木は全国的に公共投資の縮小で発注量が減少。ピーク時の半分だ。しかし、業者数は半分になっていない。民間の建築工事は好景気で工事量はあるが、公共工事の競争激化から業者が民間工事に殺到している。そのため、価格競争は官民とも厳しい。それは官庁の特命工事の場合でも同様で、官庁工事全般の相場につられて下がっている。

―19年5月期の売上高は401億8800万円(前期比11.6%増)。以前の600億円台からは大幅に減っている。

 かつての売上高600億円のうち、土木と建築の比率は2対1。このうち建築の売上高は150億~200億円で以前と変わらないが、土木が半減し全体の売上高も落ち込んでいる。それに伴い、1人当たりの完成工事高や利益率などを見ながら社員数(現在約600人)も減らしてきた。

―今後の経営の方向性は。

建設市場の縮小がどこで底を打つのか全く不透明だ。来期(71期)からの5カ年計画を現在策定中だが、数値目標が非常に立てにくい。ただ、土木部門は現在の売上高、利益の水準をキープしながら、建築部門を強化し伸ばしたいと思う。また、工事原価の部分は大幅には落とせないが、一般管理費をシビアに精査しスリム化。経費を削減しながら、生産性も上げていきたい。

―今後重点的に攻める地域は。

 東北から九州まで営業拠点があるが、今後特に東京と岡山に力を入れたい。東京は経済規模が大きい上、私自身東京勤務が長く人脈もある。また、岡山は地元でもあるし、まだまだ民間工事を中心に伸ばせる余地はある。私もこの2年半の岡山勤務で新しい得意先を開拓してきた。両地区に経営資源を投下する方針だ。一方で、それ以外の地域は逆にスリム化し官庁工事に特化しようと思う。

―一般競争入札の拡大など岡山県の入札制度改革が6月から施行。地公体の入札改革にどう対応するのか。

 国の発注工事では既に一般競争入札が本格的に導入されているが、岡山県では制度改革が6月に始まったばかり。新制度下で価格競争が厳しい中で工期、品質、安全面でどのような影響が出るのか、問題がなかったかどうか、今夏に発注した工事が完成する来春以降でないと分からない。発注者側も業者側も試行錯誤の状態だ。良いものを造るために今後官民で互いに情報交換していく過程で、具体的な対応策も変わってくると思う。業者側にとっては入札改革で公共工事の戦略を立てにくい。

―入札改革では、価格面だけでなく技術面を評価する総合評価方式の拡大も盛り込まれている。

 総合評価方式も既に国の発注工事で本格的に導入されている。価格で負けていても技術評価点で逆転するケースが多々出ている。そのため、技術力の強化はぜひ必要だ。今後工事現場の技術社員と研究開発部門の社員との人事交流を進め、現場のニーズを技術開発に生かしたい。また、大学との技術面での交流も活発化させたい。

―業界では建設業以外の新分野、新事業に進出する動きが出ているが…。

 新分野を視野に入れながら経営を進めるが、まずは本業の足場を固めることが重要だ。しかし、企業規模の縮小ばかりでは社員の士気にもかかわる。幅広く情報収集する中で、有望な事業があれば検討しようと思う。

 逢澤寛人氏(あいさわ・ひろと)

岡山市出身。昭和58年慶応義塾大学法学部を卒業し日新製鋼(株)入社。62年にアイサワ工業入社。東京支店長、専務など歴任。平成15年8月に副社長に就任。逢澤潔会長の長男。47歳。

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