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巻頭特集中国研究―人の交流

在留外国人は中国がトップに 技能実習生などが押し上げる

  • 中国からの研修・技能実習生。充実した環境で縫製技術の修得に励んでいる(トンボ本社工場)

 法務省の「在留外国人統計」によると、岡山県下に在留する外国人は平成18年末時点で2万1346人。このうち中国人は7835人(36.7%)で、韓国・朝鮮を抜いて初めて国別のトップに立った。

 第2次世界大戦以前から日本に居住する特別永住者が9割近くを占める韓国・朝鮮籍の在留者とは異なり、中国人が増えているのは、ビジネスチャンスが広がる日本への留学生や語学専修学校などの就学生増加と、研修生や特定活動(技能実習生など)の増加が要因。総社市のブラジル人のような地域的偏りは見られないが、過去5年間は毎年600~800人とハイペースで増えており、近い将来「リトルチャイナ」と呼ばれる中国人街が生まれるても不思議ではない。

 日中友好に尽力した故岡崎嘉平太氏の存在などで、昔から留学生受け入れに積極的な土地柄であるほか、繊維産業が盛んなことから研修生・技能実習生コースもあり「これらの在留資格を持つ中国人の割合が全国平均を上回っている」と県国際課では話す。

「留学生」

 県のまとめによると、平成19年9月末時点で県内には1442人の中国人留学生が滞在しており、国籍別ではダントツの1位。

 岡山商科大学では、271人の留学生が語学や社会学を学んでいる。少子化で日本人学生の確保は厳しくなっているが、大連外国語学院大学など多くの大学と提携を結び留学生は年々増加傾向で、今では学生全体の17%を占める。キャンパスでは日常的に中国語が飛び交い、昨年には中四国初の「孔子学院」も開設し、中国語と文化の普及にも力を入れている。

 土井宏輔事務局長は「大連、北京から岡山空港への直行便があることや岡山市と洛陽市が姉妹都市であることから、語学や日本の技術を学ぶために多くの留学生が岡山に訪れる。卒業後は、大学院への進学や地元企業に就職、岡山から世界へと羽ばたく学生も多い」と話す。

「研修生」

(財)国際研修協力機構のまとめによると、平成18年に岡山県下で受け入れた外国人研修生1363人のほぼ半数が繊維産業で研修している。生活習慣などの共通点が多く管理しやすいことが、中国から研修生を受け入れている理由だ。1年間の実習研修後、筆記試験などの合格を経て2年目から実習生として働く。

 (株)トンボ(岡山市厚生町2-2-9)では、平成13年ごろから研修・技能実習生の受け入れを開始。現在、中国から約100人受け入れている。縫製作業の技術や一般知識などの修得を支援。寮施設、語学教育など受け入れの環境対策にも力を入れている。また、研修生を地元の祭りや子ども会の行事などにも参加させ、地域住民との交流も図っている。トンボ国際交流事業(協)の香川建治専務理事は「帰国した後、日本での生活は良かったと話してもらえるように、今後も研修生の支援を充実させたい」と話す。

 しかし近年、中小零細企業などで賃金不払いや人権侵害行為など研修・実習生に関する不適切な行為が表面化するケースが増えている。岡山県下で大きな問題は起こってないものの、県中小企業団体中央会は「受け入れ企業の研修生に対する意識の低さ、組合が受け入れ企業に対して指導しきれないことなどに問題がある」と指摘。労働力確保の面から受け入れ側にとっても欠かせない制度だけに、今後は講習会や研修・技能実習のガイドブックを作成し、意識改善に努める方針。

「観光・ビジネス」

 観光やビジネスでの往来ははっきりつかめないが、19年度に定期航空路線の上海線を6万2576人、北京・大連線を8638人が利用した。これについては日本からのビジネス利用が主体とみられるが、4月26日に就航した香港線はインバウンド(訪日観光客)主体。4泊5日で関西や四国を周遊するツアーが組みやすく、豊かな土地柄のため東京や京都への旅行は経験済みの人が多いことも要因とみられるが、残念ながら8月末での運休が決まった。

本誌:2008年夏季特大号 6ページ

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