WEB VISION OKAYAMA

企業・事業紹介日生信用金庫

専門部署で海運業を支援  緊急案件に役員即断即決

  • 日生信金本店ロビーに飾っている船舶の模型

 日生信用金庫(備前市日生町日生888-5、中川弘之理事長、出資金4億4273万円)は、現在、本店に「海運室」を設置し、地場産業である内航海運業への経営支援を強力に進めている。内航海運は貸出金総額の4割を占め、まさに同信金の命運を握る。それだけに時代の変化に対応し、かつ長期的な視点から、絶えずベストな支援体制を懸命に模索している。

 海運室は海運課、海運支援課から成り、職員数は現在木下博文室長以下5人。海運向け融資の規模と業界の独自性・専門性ゆえに、組織図上、ほかの業種の担当部署とは切り離している。

 海運不況で取引先の業況が厳しい時に支援しようと、平成10年に海運グループ(3人)として発足。その後、紆余曲折を経て、現在の体制になった。

 海運業界は、主に地元の中小海運会社で船のオーナー、配船を司るオペレーター(大手海運会社)、荷主の3者の駆け引きで動いている。

 その中で、同室職員には地元のオーナーへの経営支援で船舶の基礎知識に加え、オペレーターや荷主の動向など幅広い知識と人脈が求められる。また、現在だけでなく、将来の市況を読み提案できる能力も不可欠だ。専門誌を購読するなど、知識の習得に余念がない。

 海運室では通常の経営に対する助言に加え、船の売買などで融資先の地元オーナーと同行し交渉ごとを職員が引き受けるケースもある。さらに交渉や情報収集でオペレーターなどを訪問するため、県外への出張が多く、職員の中でも特に交渉力と行動力に秀でた人材を投入している。

 そのほか、船舶の売買など相場があるものはタイミングが重要だ。それに対し、経営陣もバックアップし可否を即断即決。融資の重要案件で決裁が必要な時、中川理事長ら役員が緊急の海運改善会議を開き意志決定することもある。

 海運業界は、現在景気回復で荷動きが活発化し活況を呈している。同室発足当初とは様変わりした。しかし、地元の海運業者には厳しかった時の負の資産が依然残っており、「経営支援はまだまだ必要だ」と言う。

 今後の課題は若手の育成だが専門性ゆえ一朝一夕にはいかない。中川理事長は「貸出金シェア4割を占める業界の動きに対応できるだけの人材を大切に育てたい」と力説する。

 「データ」

 預金残高934億4285万円
 貸出金541億1932万円
 自己資本比率6.06%
 従業員数136人
 店舗数10
 (19・3期)

 日生信用金庫理事長
 中川弘之氏

 職員の提案力向上図る

 ―海運以外の地場の景況はどうか。

 耐火物は鉄鋼業の高操業から緩やかに持ち直しているよう。しかし、手放しで喜べる状態ではない。また、消費者が赤穂市や備前市中心部へ流出し、旧日生町の小売業は厳しい状況だ。

 ―企業再生支援では、15年8月に企業支援室(3人、海運業除く)を設置し取り組んでいるが、成果はどうか。

 17、18年度の2年間では、12社(海運業含む)の債務者区分がランクアップした。大口先でDDS(債務の劣後借入金化)、DES(債務の株式化)など先進的な手法を使ったケースもある。

 ―人材育成はどう進めるのか。

 何をするにも重要なのは人材。若手職員は圧倒的に外回りが多いが、本店融資課、本部融資審査課へ若手職員を2、3年のローテーションで計画的に配置し審査能力の向上を図ろうと思う。外回り、内勤とも経験させ両者の視点でものが見える人材を育てたい。現在は一方の視点でしか見えない弊害が出ているように感じる。今まで色々難しい面があったが、金庫の将来を考えるなら今後無理してでもやりたい。

 ―地方と言えども、業界の競争は厳しい。その中で進むべき道は。

 お客様のニーズを吸い取り小回りを利かして効率的に対応をするという基本姿勢を全うしないと戦いに負ける。それには、やはり人材育成。職員も単なる御用聞きではだめ。お客様に的確に提案できるようにレベルアップさせたい。また、日ごろから個人のお客様を訪問し、上位行以上にお客様の状況は把握している。これは信金の特性であり強み。これを生かし的確な商品をお勧めできるように育成したい。

PAGETOP