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インタビュー・対談適塾、吉備学トップ対談

塾においでよ、語り合おう

  • 馬場氏(左)と松畑氏

●岡山をこよなく愛する“情熱人”2人が大いに語る。
「塾においでよ、語ろう」●



松畑 煕一氏

まつはた・きいち●吉備学会会長(連塾・健塾塾長)●昭和25年3月生まれ。広島大学教育学部卒業。昭和60年岡山大学教育学部教授、同副学長を経て同17年中国学園大学副学長。同18年学長。平成17年4月「連塾」、翌年福寿社会リーダー養成の「健塾」を開講し塾長就任。平成19年3月吉備学会会長。

馬場  勉氏
ばば・つとむ●おかやま適塾塾長(代表世話役)●昭和17年4月生まれ。岡山朝日高校から中央大学法学部法律学科卒業。昭和42年(株)谷澤総合鑑定所(大阪市)に勤務。昭和52年3月(株)馬場総合鑑定所を設立。今年で創立30周年。平成19年3月「おかやま適塾」を開塾し、塾長。中国定期借地借家権推進機構理事長、岡山市総合政策審議会委員。


○ ○ ○
 正に“乱世”である。こんな時代だからこそ思想家が注目され、議論し学ぶ場が必要となる。時あたかも、緒方洪庵の「適々斎塾」に倣った「おかやま適塾」が発足し、一方で中四国地区を包括して捉える「吉備学会」も設立された。両トップにほとばしり出る“想い”を語っていただいた。○○○

 ―適塾、吉備学それぞれに発足の狙いがあり、ほとばしり出る熱き想いがあると思います。適塾の想いとは。

 馬場 備中国足守藩出身の蘭学者、緒方洪庵が大阪に開いた「適塾(適々斎塾)」をお手本にして、熱く議論する場、つまり現代版辻説法の場作りをしようと設立したのです。岡山市は政令指定都市を目指しているのですから、市民の方々を中心に、大いに語り合いましょうという狙いです。

 ―吉田松陰の「松下村塾」と対比して、洪庵の適塾は、実に自由闊達な塾風で、それが多様な塾生を数多く輩出したといわれますね。

 馬場 塾生たちの勉強ぶりはすさまじく、激しい議論も闘わされたようです。建物には刀創が残っているほどですよ。だからこそ、幕末から明治にかけてのあの大混乱時代に、福沢諭吉を始め1000人にも及ぶ人材を輩出したのです。日本の背骨を創ったのです。大阪大学の創立者の一人で、大いに“適塾”を売り出しています。関西の人は皆知っている偉人。岡山は教育県と言われていますので、学ぼうという気持ちは潜在的に持たれていると思います。鬱積したものを開放しなきゃ…。自由な雰囲気の下で思いのたけを熱く語るのも善し、人の話に耳を傾けるのも善し、岡山の明日を夢見て語り合うのも善し、多くの人に参加していただきたいのです。

 松畑 私は7年ほど前、岡大教授の定年を前に、定年後の人生設計を考えていて一念発起したのです。幕末に生きたあの吉田松陰は30年という短い生涯ながら、自身の情熱で多くの人たちの心を揺り動かした。松蔭の倍以上も馬齢を重ねながら、やったことは彼の10分の1にも達していない自分を発見して愕然としたのです。そこで「よし、現代の松下村塾を目指そう」と、勉強を始め、退職金で私塾のセミナーハウスを建てたのです。それがコミュニティプラザ連塾です。

 ―連塾ではどんなことを…。

 松畑 21世紀のキーワードは「連」(つながり)なのです。人と人、人と自然、人と歴史、それらの連(つな)がりを重視した地域創生リーダー養成塾です。1人が変われば社会が変わるを合言葉に、世直し隊となる人材を輩出していきたいのです。そこで、産学官民が一体となって新たな総合学としての吉備学を打ち立てるべく吉備学会も発足させたのです。

 ―それぞれ船出した塾は順調に育っていますね。

 松畑 連塾は2005年4月開塾して、1期生は51人にもなりました。18歳の大学生から、職種も住居も歳も多様で、地域創生への志と熱気に満ち満ちていました。2年目には姉妹塾として健塾をスタートさせました。

 馬場 3月に始めて3カ月程度がたちました。聴衆が少ない時もありますが、若い人の姿も見られます。4月にはホームページも立ち上げました。1日に平均50件以上のアクセスがあります。応援に励ましに来てくれる人もあります。ケーブルテレビでも放送していただいていますし、これからが楽しみです。山陽新聞では毎回記事を掲載してくれています。

 ―これから、塾をどのように発展させるのですか。

 馬場 手応えはあります。自由闊達に話していただくと言う今の方針は貫きます。聴衆がまだ少ないのは、いい話ですからもったいない気持ちでいっぱいです。是非、聞きに来て欲しいのです。9月からは、出席しやすいように開催日を火曜日から水曜日に変更します。

 松畑 人も地域もビジョンが無いと動かないのです。その上、現在は展望の無い時代です。近代的合理主義などの近代文明を支えてきた思考法や発想法の枠組みそのものを再検討し、中長期的ビジョンに基づく地域創生学を確立することが、新たな地域・コミュニティづくりに不可欠なのです。本来の「ヒト」の目を取り戻し、ゆっくりと見えない底流を流れる本質的なものを見る目を養っていかねばなりません。そのための努力を続けます。

 ―岡山で今、一番大事であるのに欠けているものは何ですか。

 松畑 岡山は発信力以上に認識力が欠けていると思います。素晴らしいところであるのに、それがどのように素晴らしいのか、分かっていない方が多いようです。それらを歴史的にもきちんと整理していきたいと考えています。

 馬場 岡山からはいろんな人が輩出しているのに、誇りにもしない。そして、互いの意識はバラバラ。未だに「アイツがやるのなら、ワシは止める」とか言っている。私は、出来ることなら立場を超えた接着剤になりたい。男のロマンというか、志というか、それらの意識をまとめていきたいのです。私には希望がある。岡山にも志のある人はいるのだろうけれど、なかなか実行に移すまでやる人は少ないのです。ただ、私は希望があるのでやりたいと思う。

 ―岡山の将来展望と決意を。

 馬場 中四国地区の雄となる岡山を作りたい。それには、私1人ではダメなので、力を結集できる状況を作りたいのです。適塾はそのための手段の一つです。幸いに産官学民、マスコミなどから応援、支援の輪が広がりつつあるのはありがたい。

 松畑 吉備文化には品格があります。吉備には、先見性も、忠誠心も、知恵者も多く存在しているのです。吉備の国が破綻した本当の理由は、要するに火急の時、それらを束ねる人がいなかったということなのです。新たに望ましい地域を創っていく意気込みが、今こそ大切だと思うのです。


「適塾」

2部構成で、前半はその道の著名人・達人による講演。武冨豊天満屋女子陸上部監督、木谷忠義さえら社長らが登壇、聴衆をうならせた。2部は私の主張で本音が聞けて楽しい。月2回「さん太ホール」。参加費1000円。

「連塾・健塾」

正に松畑氏による私塾。「連なり」をキーワードに、地域創生のリーダーを養成しようというもの。活発な議論が続く。「健塾」は1年後に連塾の姉妹塾として設立。どちらかと言えば高齢者向けの生涯学習の場。元気いっぱい。

本誌:2007年7.9号 20ページ

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