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[知的財産]受発注者どちらの特許

 Q PETボトルをきれいに洗浄できる洗浄装置があれば良いと思い、開発業者に開発費用を支払って開発してもらいました。弊社から何も指示することなく素晴らしい洗浄装置が出来上がって喜んでいたところ、開発業者からこの洗浄装置の特許出願を近々するとの連絡が入りました。開発を依頼した弊社が特許をとるのが当然ではないですか。

 A 特許権を取得するには、「特許を受ける権利」を有する者が、特許を受ける権利に基づき特許出願する必要があります。この特許を受ける権利は、その発明の具体的内容を考え出した者(発明者)に発生しますが、譲渡可能な権利ですので、特許を受ける権利の譲渡を受けた譲受者が特許出願することも可能です。ところで、高度複雑な技術開発においては、自社内だけではなく、社外に開発を依頼することもあります。この場合でも、特許を受ける権利は、開発依頼者や開発費用負担者とは関係なく、その発明の具体的内容を考え出した者に発生します。課題や願望を思いついた者Aが、それを実現するために開発を他者Bに依頼し、その課題解決や願望実現のための具体的内容(例えば、装置の具体的構成)をそのBが考え出した場合には、これに関する特許を受ける権利はBに発生し、Bに帰属します。

 ご相談の例では、貴社が「PETボトルをきれいに洗浄できる洗浄装置」の必要性を見出し、これを実現するために開発費用を支払って業者に開発を依頼した結果、その洗浄装置が完成したのですから、貴社としてはこの洗浄装置の特許権は貴社のものとお思いかもしれません。しかしながら、上述の通り、貴社は「PETボトルをきれいに洗浄できる洗浄装置」という課題や願望を思いついたものの、それを実現する装置の具体的構成は開発業者が考え出したのですから、その洗浄装置に関する特許を受ける権利は開発業者に発生しており、原則として、開発業者はこれに基づき特許出願をすることができます。貴社は、特許を受ける権利を開発業者から譲受すれば特許出願することができますので、開発業者との譲渡交渉をご検討ください。

 ただ、開発完了後の譲渡交渉は困難なことも多いため(良い発明ほど交渉は難しくなりがち)、今後は、開発に先立って開発結果(成果物)に関する「特許を受ける権利」の帰属について契約を結ぶことをお勧めします。

本誌:2015年8.24号 29ページ

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