WEB VISION OKAYAMA

巻頭特集目指せ免税商店街

急増する外国人客取り込み活性化へ 全国初表町モデルにノウハウ蓄積

  • 天満屋岡山店内に設置された免税一括カウンター

 岡山県内の商店街の店舗で、消費税の免税店化への関心が高まってきている。急増する外国人観光客を呼び込み活性化につなげようというもの。その中で先陣を切ったのが岡山市の表町商店街で、免税手続きを一括して担うカウンターを天満屋岡山店に設置。商店街として全国第1号のモデルケースと位置付けられている。また、有力観光地を抱える倉敷、児島の商店街でも免税対応を模索している。ただ本格的な普及、定着にはまだまだ課題も多い。


案内看板など受け皿整備も急務

「岡山市・表町商店街」
国参画し異例の支援体制 検討会で具体策を協議へ

 (協)連合会岡山市表町商店街連盟(大開博之理事長)は、5月28日に天満屋岡山店5階と地下1階に免税一括カウンターを設置した。今まで利用件数は2件にとどまるが、全国への普及を図りたい国自らが参画する官民連携の異例の支援体制で今後誘客と利用促進を図る。

 4月の制度改正で可能になった第三者委託制度を活用するもので、衣料、文具、仏具など22店が参加。1店舗で免税対象額(一般物品1万円、消耗品5000円)を満たさなくても複数店で満たせば免税になる。各店は手数料、消費税分を天満屋に支払い、免税手続きを委託することで負担が軽減される。また、商店街には一括カウンターに参加せず単独で免税店許可を得ている店が10店あり、計32店で免税対応している。

 各店の免税の実績はまだまだだが、これを契機に外国人客の獲得につなげているところも。文具店のソバラ屋では、店頭に免税店シンボルマークの立て看板を設置。「これを目印に入店する外国人客が増えた」と言う。売れ筋は消せるボールペンやメモ、ノートなど一般的な文具だが、般若心経の色紙などに注目する外国人もいるという。

 受託した天満屋では以前から免税対応してきたが、2年前から外国人客が増え始め昨年10月から加速。単独の免税対応では前年同月比で件数、金額とも2倍で推移している。シャネル、グッチ、ブルガリなどを買う富裕層が中心だが、7月は免税制度の認知度が上がったのか、「若年層も増えた」として裾野が広がっている。

 商店街側では、受け皿整備、情報発信を進めており店員用に4カ国語の対応マニュアル(会話集)を作成し各店に配布。免税店を紹介する多言語マップも現在作成中だ。また、8月5日には商店街、天満屋、県、市、商工会議所に加え中国経済産業局、中国運輸局、日本政府観光局など国の機関が参加し「岡山市表町商店街魅力向上検討会」を発足。月1回のペースで会合を開き年度内に外国人客誘致に向けた具体的な計画をまとめる方針。

「倉敷駅前商店街」
美観地区観光客取り込め 意向調査し方向性を検討

 倉敷駅前商店街にある子供服専門店「プチバンビーナ」は、昨年8月から免税対応を行っている。少子化で将来に危機感を抱き外国人客に着目。倉敷美観地区からの外国人観光客の来店も多いため免税店許可を取得した。

 外国人客はメイドインジャパンの商品にこだわる傾向があるほか、甚平、浴衣など日本的な衣服が売れ筋だ。また、ミキハウスは中国でも人気があり、「ある程度のまとめ買い」(岡野正裕メディアマネージャー)が目に付くと言う。外国人客は月に平均20人の来店で、そのうち免税は月2、3件。

 商店街の免税店は現在同店だけだが、商店街全体の魅力アップにと他店にも呼び掛けている。これを受け、倉敷駅前の9商店街が加盟する倉敷商店街振興連盟(野嶋雅弘会長)では、8月下旬に各店に免税店取り組みの意向調査を実施、それをもとに今後の方向性を検討していく。また、美観地区内でも免税店は現在土産物店1店のみ。「県下最大の観光地にもかかわらず美観地区や周辺の商店街とも免税店が少なすぎる」との声も出始めており、今後の動向が注目される。

「児島ジーンズストリート」
デニム求め外国人客急増 税務職員招き勉強会実施

 倉敷市児島味野にある児島ジーンズストリートでは、外国人客の増加に対応し免税店化の動きが広がっている。現在倉敷天領デニム児島店、ピュアブルージャパン児島店の2店のみだが、㈱ジャパンブルー(倉敷市、真鍋寿男社長)の「桃太郎ジーンズ」などの店舗も免税店の許可を申請し準備中だ。

 4月に児島商工会議所の要請で広島国税局、児島税務署から職員を派遣してもらい、同ストリートの出店者向けに勉強会を開いた。「参加者の反応もよかった」(児島商工会議所)という。

 ストリートには年間約14万人(2014年度)が訪れ、そのうち外国人客は約1万人と推測。かつては中国、台湾などアジアが大半だったが、ここ2年は欧米の来訪客が急増。5年ほど前から児島のジーンズメーカーが欧州での販路開拓を強化、産地児島の名が現地で浸透していることが影響しているよう。

五輪の年地方2万店目標 普及に行政の支援不可欠

 岡山県下の免税店の数は2014年4月にわずか31店だったが、10月に56店、今年4月に169店と急増、半年で3倍になった。内訳をみると、大型商業施設のテナント、全国チェーンの店舗などが大半だが、地元の小売店の参入も目に付く。国は現在約6600店の地方の免税店を東京五輪が開催される20年に2万店規模に拡大する目標を掲げている。それには商店街を含め地方での裾野の拡大が不可欠だ。また、特にインバウンドの弱い瀬戸内地域では、ビジットジャパン地方連携事業で中国運輸局を中心に外国人誘客に力を入れている。その受け皿整備としても免税店拡大の重要度は増してくる。

 ただ、免税商店街化への取り組みでは課題もいくつか浮上してきた。表町商店街では今後130~140まで参加店を増やしたい考えだが、カード利用も可能な免税対応の端末ともなると費用の負担が大きい。「今後何か支援策を行政にお願いしていきたい」(大開理事長)と言う。

 商店街への誘導では多言語の案内看板が必要だ。近くの後楽園では年間7万4000人(14年度)の外国人客が訪れるが、後楽園からの案内看板がないため、そのほんの一部しか取り込めていないのが現状だ。インバウンド自体の増加では、年末をめどに天満屋・商店街を回るツアーの商品化を官民で旅行会社に働きかけていく。

 一方で、商店街側の自助努力も求められる。8月下旬に商店街の有志が集まり魅力向上勉強会を発足。今後祭りずし、和菓子づくりの体験、書道体験など外国人向けの体験型メニューづくりを進める方針。

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