WEB VISION OKAYAMA

連載記事

銀行交渉を有利に進めるための条件とは

 中小企業は、銀行から資金調達するのは難しいと考えることが多いようだ。と言うのは、その中に往々にして赤字を補填するための資金が含まれているからである。金融機関は基本的に赤字補填資金に対しては融資しない。だとすれば、どのような考え方で資金を調達すれば良いのだろうか。

 25年も前のことであるが、私が債務超過になった会社に赴任した時のことである。その企業の財務担当役員は資金繰りが厳しいことから、毎日、事務所や会社の敷地などの周囲に塩と米を置いて神頼みをしていた。資金繰り表を見ると、1週間ごとに資金が不足していた。

 さらに業者との交渉を見ると「あなたの親会社は立派だ」という調子で、財務担当者は業者に煽てられ、加えて、子会社の代表者と財務担当者らは、業者の接待まで受けていたのである。

 私は「子会社の資金繰りが悪化してきたのは、事実を冷静に確認せず収益改善を図ることも怠ったことと、業者に舐められたことが原因である」と考えた。と言うのは「新潟県は滋賀県よりも1人当たりの人件費が20%近く低いのに、どうして資材が20%近くも高いのか」と疑問を持っていたからだ。

 そこで実施したことは、どんな些細な商品でも、親会社と業者の双方から競合見積りを取り、地元業者からの購入価格を引き下げることで支払い価格を引き下げた。その結果、燃料、仕入れ品、修繕費などを15%以上も引き下げることに成功し、月間支払い金額を約200万円近く減らすことができた。

 次に実施したのは、燃料コストの引き下げだった。当時、第二次石油危機が到来し、レギュラーガソリンの価格が1㍑当たり150円にまで高騰し、燃料コストも2倍近くに上昇していた。

 そこで、省エネルギー対策を講じてコスト削減を考えた。悪戦苦闘の末、「省エネルギー技術とは、捨てているエネルギーを再利用することである」ということに気が付いた。数人で経営していた加熱炉メーカーが開発した省エネ炉を導入して大幅に燃料コストを下げることにした。省エネ炉の購入価格は800万円だった。この金額は債務超過企業にとっては大金だった。親会社に相談したが、「借り入れは不可能である」と一言で片づけられてしまった。

 その言葉を聞いて「俺は絶対に資金調達してやる」と猛然とファイトが沸いてきた。銀行の融資担当者に理由を言って借り入れを依頼したところ、「ボロ会社には融資できない」と、にべも無く断られた。それに懲りずに融資係長→融資課長→融資部長→本店営業部次長→本店営業部長と次々に面談して借り入れ依頼を行った。

 最後に面談した本店営業部長から「担保は何か」と聞かれ、「私自身と私の信念です」と答えた。10分間の沈黙の後、本店部長は「私が保証するから運転経費も含め、2000万円を融資する。後藤君の信念と前向きな経営姿勢に負けた」との回答だった。

本誌:2005年8.21号 27ページ

PAGETOP