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巻頭特集県北地域で急ピッチの風倒木撤去作業

供給過剰で市況に影響 後を絶たない労働災害

  • 供給過多で市況低迷が続く津山木材共販所

 昨年10月の台風23号で風倒木被害に見舞われた県北地域。「県内で生産される国産スギの約4年分がいっぺんに倒れた」とも言われ、地元の森林組合などは現在、急ピッチで撤去作業を進めているが、被害木の出材量が急激に増えたため供給過多となり、共販所での取引価格は下落。今後は経時劣化で市場価値の低い被害木が増える見通しで、市況回復への材料は見当たらない。作業上の死亡事故など労働災害も後を絶たず、森林再生への道のりは険しい。

 県農林水産部によると、風倒木被害に遭った民有林(人工林)は約5500haで、9割以上が県北東部の美作県民局管内に集中。国からの補助もあり、平成20年度までの5年間で復旧対策事業を実施。今年度の関連予算は約24億円で、6月末段階で撤去作業が完了したのは約670ha。今年度は1700ha、20年度までに4500haの森林復旧を目指している。

 県北の各森林組合は被害木の撤去作業を進めているが、その結果、共販所への出材量は「平年の2倍以上」(県森林組合連合会)となり、そのうち約9割を被害木が占める。供給過多が続き平均単価(1立方メートル当たり)は一時、台風前のほぼ半値となる7000円台まで下落。直近は1万1000~1万2000円台に持ち直しているが、共販所までに持ち出す経費は1立方メートル当たり1万5000円以上かかるとも言われ、県南の組合は不採算を理由に出材を見合わせているという。
 
 市況回復も期待薄で、これまで出材された被害木は林齢が比較的古く、市場性も高かったが、今後は経時劣化の激しい原木が増えるとみており、「すそ物が増えれば平均単価の下落につながりかねない」(同)との不安も聞かれる。

 また、撤去作業が本格化して以来、労災件数は増加。津山労働基準監督署によると、林業での死亡災害は台風以後4件発生しているが、県森連の集計(個人も含む)では7件に上る。立ち木の伐採に比べて危険度が高く、県は昨年度から各組合に対して機械購入費を助成する一方、同署も定期的に講習会を開くなど再発防止策を図っている。

 国や県からの手厚い補助で、山林所有者や森林組合の撤去負担費用は少額で済むが、植栽後は下刈りなど新たな作業負担を強いられることを理由に、撤去に消極的な所有者もいるなど温度差が見られるという。現在は供給過剰状態だが、数カ月後にその反動が起きるのは確実視されており、全国有数の“林業県”は幾多の不安定要因を抱えている。

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