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[知的財産]登録希望商品等のみの不使用取消請求

 Q 弊社は、商品「菓子」に商標を使用しており、この商標を登録したいと思っております。ところが他人が同じ商標を商品「菓子、パン」に登録しているのに全く使用していないようです。この場合、不使用による取消審判を請求する場合は「菓子」について請求すればよいでしょうか。

 A 継続して3年以上日本国内において不使用の状態の登録商標については、誰でもその使用していない指定商品及び指定役務(指定商品等) に関し、その商標登録を取り消すための不使用取消審判(以下「審判」)を請求することができます。審判請求された商標権者は、審判請求に係る指定商品等の一部について登録商標の使用事実を証明すれば、それ以外の指定商品等についても商標登録は取り消されないことを第1994号にてご説明いたしました。

 ご相談例では、商品「菓子」のみについて貴社が審判を請求すれば、その他人が商品「菓子」について不使用であれば、仮に商品「パン」について商標を使用していても、商品「菓子」に関し商標登録は取り消されます。従いまして、貴社が登録を希望する商品「菓子」のみについて審判を請求すべきように思えます。

 ところが、商品「菓子」に関しその他人の登録が取り消されても、商品「パン」についての登録は残ります。この商品「パン」についての登録がその他人に残った状態では、貴社が同じ商標を商品「菓子」に登録しようとしても、貴社出願の「菓子」と他人登録の「パン」とは互いに類似しますから、貴社出願はその他人の登録と類似するとして登録を拒絶されることになります。

 このように登録を希望する商品等に加えて、その商品等と類似する商品等も一緒に審判請求して取り消さなければ、希望する商標を登録できませんので注意が必要です。商品「菓子」について審判請求の後、商品「パン」も取消が必要であることに気づき、後で別の審判を請求しても、その請求前に商標権者が商品「パン」に使用実績を作ることで取消を免れることもあります。

 似た例として、互いに類似関係にある複数の商標登録を相手方が持っている場合は、一部の商標登録を取り消しても、残りの商標登録と自分の出願とが類似して登録が認められないこともありますので注意してください。

本誌:2018年1.22号 25ページ

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