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「やる気」との向き合い方

 新しい年が始まりました。今年は、今年こそはと目標を立てられた方も多いのではないでしょうか?勇気づけの心理学、アドラー心理学のやる気(モチベーション)との向き合い方をお伝えすることにいたしましょう。

 人が行動を起こす時には、心の中での働き掛けがあるわけですが、その働き掛けは「動因」と「誘因」の2つに区分できます。行動する意欲そのものが「動因」その気持ちを誘い出すものが「誘因」です。ある企業の面接試験での話です。「ごく普通のこの水を私に勧めて、通常の倍の値段で私に売ってください」と面接官からペットボトルを渡されるという設問があったそうです。多くの受験者が水の健康効果を訴えたり、なかにはこの水は特別な価値のある水なのだという設定を加えようと工夫をしたそうです。有名なアーティストの飲みかけの水だと伝えたり、この水を飲んだら10歳若返る、などです。

 この面接をクリアした受験者がとった行動は次のようなものでした。「恐れ入りますが、今から5分間この部屋の中で一緒にランニングをしていただけますでしょうか?」と、面接官とともに、この部屋の中を5分間ぐるぐる走ったそうです。ここに水があるということは「誘因」です。健康効果や特別な価値は、そのことに特別な関心を持つ人以外には、やはり単に水があるという「誘因」でしかなりえません。しかし、運動して喉がカラカラになっている時、水を飲むという行動を呼び起こす「動因」を作り出せています。

 喉が乾けば水が飲みたくなるという生理的欲求を満たす場合や、想定を上回る優遇や報酬など、だれのやる気でも引き出せるというものもありますが、一般にはやる気には個人差があります。1人ひとりやる気への「動因」や「誘因」は異なるのです。自分のやる気センサーを知っておくことも大切です。

 あなたが過去にやる気が出たと感じた時はどんな時でしょう。その時「誘因」となったのは「動因」となったのはどんなところだったのでしょうか。その「誘因」や「動因」によってやる気が出たのはどうしてなのでしょうか。やる気へのセンサーは人それぞれ違うのだ、ということ。そして、自分がどんなセンサーに反応しやすいのかということも知っておくといいでしょう。

 もしかしたらあなたは、お金・昇進・立場・名誉・承認・評価といったものにやる気の源泉を感じるかもしれません。しかし、もしもあなたの部下が楽しさ・面白さ・充実感・使命感・感動・貢献感といったものにやる気の源泉を持っているとしたらあなたの激励は的外れになっている場合があるかもしれません。

 実はやる気の源泉となる動機付けには2つのスタイルがあります。先に記した「お金・昇進・立場・名誉・承認・評価」は外的動機づけと呼ばれるもので、私たちは人のやる気を呼び起そうとするとき、こちらが頭に浮かぶことが多いようです。なぜなら分かりやすく他者がコントロールできるものだからです。「アメとムチ」という言葉もあるように「降格・減給・配置換え・好きなことの禁止・罰を与える」というものも、外的動機づけに含まれます。アメが欲しいために頑張り、ムチを避けるために頑張る。私たちは子どもの頃からそんな外的動機づけに囲まれています。しかし、アメもムチも他者から与えられるものであり、その実権は他者が握っていることになります。そう、だから外的動機づけは心の奥からエネルギーが湧いてきて持続することが難しいのです。

 一方「充実感・使命感・感動・貢献感・夢の実現・成長」などは内的動機づけと呼ばれます。他者に支配されることなく内側から泉のように湧いて出てくるものなのです。この内的動機づけを自分自身の中に見出し、育て、湧き出させるようにすることにより、私たちは自分自信を行動へ駆り立てることができるようになるのです。

 次号では、そのための姿勢や考え方をお伝えしていきたいと思います。

【ベストセラー作家 小倉広さんをお迎えするアドラー心理学の勉強会を開催します】

 「もしアドラーが上司だったら」「アルフレッド・アドラー 人生に革命が起こる100の言葉」などの著者小倉広さんをお迎えする講演会を2月28日倉敷にて開催します。懇親会には小倉氏も参加されます。詳細申込は山田響子公式サイトへ。

本誌:2018年1.22号 23ページ

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