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連載記事人材育成のタネ 49

働き方改革と仕事の性質

  • 竹本幸史氏

 働き方改革の名の下、長時間労働の是正、労働生産性の向上を目指す動きが続いています。無駄な残業がなくなり、短時間で効率よく成果を出せるのであれば、働く人たちにとって悪いことではありません。にもかかわらず、こうした動きに異を唱える現場からの声は少なくありません。理由はなんなのでしょうか。

 本来、その仕事の成果の性質は何か、どう測るべきかという話があるはずですが、現状はその部分が抜け落ちたまま、さまざまな場で議論が進んでいるように感じます。一般的に「生産性の向上」という言葉が使われるとき、単位時間あたりにどれくらいのアウトプットができるかを分かっていることが前提に立っています。その上で、効率をいかに上げるかという話です。仕事には、「知識労働」と「単純労働」が存在します。知識労働というのは、2倍の時間働いたら2倍の成果が出るかというと、そんなことはありません。時間を掛けたらアイデアが出る場合もあれば、出ない場合もあります。ちなみに、ここでいう知識労働というのは、デザイナーやコンサルタントのような一部の仕事だけを指しているわけではありません。本来、営業や企画、マーケティング、生産管理を含めたホワイトカラーの仕事全てを指す言葉です。ホワイトカラーの仕事というのは、知識労働にならなければ、いずれAIに駆逐されてしまうことになります。

 生産性の改革という話をするのであれば、単位時間あたりでアウトプットが増える単純労働なのか(AIにより駆逐される可能性が高まりますが)、アイデアの蓄積が一定のアウトプットにつながる知識労働なのか(こちらにシフトすれば、価値が高まります)。どちらの観点で議論しているのかを整理しなければ、最終的な働き方改革の成果が会社業績とリンクしません。働き方改革の「目標」「基準」をどういた尺度で考えるのか。全社員に一括して適用するものなのか。より仕事の性質を踏まえ、考えることが求められているのです。

●竹本幸史● 元㈱リクルート岡山支社長。現在は人材育成を主としたコンサルティング業務の㈱SWITCH WORKSを立ち上げ奔走。またリーダー養成スクール「法人会員制・定額制ビジネススクール」を開講中

本誌:2018年1.22号 13ページ

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