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巻頭特集JR岡山駅西口再開発―来年3月整備完了

人の流れは増えるも商業施設は苦戦 ビジネス客取り込む方策がカギ

  • 工事が進む岡山駅西口交通公園広場

 JR岡山駅西口地区の再開発が、来年3月で完了する。西口地区はフォーラムシティビル(岡山コンベンションセンター)、リットシティビルの開業、都市計画道路下石井岩井線、JR岡山駅東西連絡通路の開通、交通公園広場の整備など、大きく変貌をとげてきた。歩行者や車など駅東地区からのアクセスが便利になり人通りは多くなったが、商業面での売り上げ増加には直結していないのが現状。再活性化に向けて、いかに西口地区で消費してもらうのか新たな街づくりの一手が求められている。


 戦災の被害が駅東口地区と比べて少なかったことから、基盤整備が遅れていた岡山駅西口地区。平成13年に岡山コンベンションセンター(ママカリフォーラム)、同17年にリットシティビルが開業した。3月の交通公園広場の完成に伴い、1階のバスターミナルには、既存の路線バスに加え、高速バス、定期観光バス、岡山空港リムジンバスの乗り場を集約する計画。2階は、タクシー乗り場、緊急車乗降場を設置。東西連絡通路から直接利用できるようになる。

JR岡山駅と直結したコンベンション施設ママカリフォーラムは、中・四国地区はもとより、西日本での各種医学会、展示イベントなどの会場として、当初計画の60%を上回る約70%の稼動率をキープ。会社員や医療関係者などビジネス利用者の西口地区誘導を実現した。直結する岡山全日空ホテルもコンベンションとの連動、アクセスの良さから好調を維持している。

マンション林立で人口は増加

 東西地区間の移動が容易になったことから、マンション業界が着目。平成19年から昨春までに、学生マンション総合企画の(株)ジェイ・エス・ビー(京都市)などが100戸規模の賃貸マンションを相次いで建設。学生のほか、JR岡山駅周辺に勤務する単身赴任者からの支持を得て、4棟約400戸ほぼすべてが入居している状態となっている。

分譲マンション建設も活発だ。昨年建設された(株)カイタック不動産(岡山市)の「リビンコートSTUDIO奉還町」(66戸)など4棟が林立。現在は、穴吹興産(株)(香川県高松市)が奉還町商店街北の奉還町パーキング跡(岡山市北区奉還町3-82-1ほか)に「アルファステイツ岡山駅西」を建設中。平成22年3月入居予定で、90戸の募集に対して約70%の契約率と注目の高さをうかがわせている。昭和住宅(株)(兵庫県加古川市)も同区昭和町25-2に平成23年春入居予定の「リベール岡山駅WEST」(35戸)を建設。「岡山駅まで徒歩9分の利便性をアピールしたい」と分譲を開始した。マンションの増加などにより、西口地区の居住者数は増加。都市部への人口回帰を実現した格好だ。

 また、ビジネスホテルでは、東横インが、平成18年に「岡山駅西口右」(216室)、翌19年に「岡山駅西口広場」(178室)を相次いで出店。東口との価格競争で苦戦をしているものの稼働率70%以上をキープしているという。

アベニューの売上は半減

 人口が増加した西口地区だが、飲食・小売など商業施設は苦戦しているのが実状。リットシティビル内の飲食・物販街「リットアベニュー」は、開業時と比べ売り上げが約半分にまで落ち込むなど大苦戦。東西連絡通路開通は、東口から集客できる効果がある半面、東口に流出しやすくもなる“諸刃の剣”。リットシティビル内のオフィスに勤務する約1000人の会社員やコンベンション利用客も、昼食代がやや割高なアベニューを避けて、東口の「さんすて岡山」や、周辺のコンビニ、飲食店などを利用する傾向が強いという。

 打開策として、西口前を通って桃太郎スタジアムまで移動するファジアーノ岡山サポーターを対象とした割引キャンペーンをはじめ、リットシティビルのイルミネーションや、定期的な街角ライブの開催などで集客を図るも決定打にはつながっていない。リットシティビル管理組合の坂本伸一事務局長は「人の流れは思ったほど良くない。交通広場整備後は、エスカレーターですぐにバスターミナル方面に降りるケースも増えるため、リットシティビルまで来てもらう方策が必要」と危惧する。

若手店舗出店で新客を開拓

 奉還町商店街では、岡山コンベンションセンターやデジタルミュージアムでのイベント開催時には、今まで通ることの少なかった会社員や若い家族連れらが流れてきているが、売り上げ増にまではつながっていないという。

都市計画道路下石井岩井線の整備で、交通アクセスが良くなったものの、岡山駅西口パーキング(岡山市北区奉還町2-1)の利用率は2006年をピークに毎年1割程度の減少が続いている。管理する(株)岡山コンベンションセンター(岡山市)では「不況による月極め契約者の解約もあるが、一般利用客の減少も顕著」と言う。

奉還町商店街振興組合の岸卓志理事長は「奉還町を目指して来てもらえるよう、定期的なイベントや、今までになかったジャンルの店舗を増やしていくなど魅力作りが重要」と強調する。

新しい動きも出始めて2~3年前から若手経営者のショップが相次いでオープン。カフェ「ONSAYA(オンサヤ)」、イタリア料理「Pieno(ピエーノ)」、衣料・雑貨「grico apart(グリコアパート)」などの店舗は、周辺大学からの学生や、20~30歳代の女性の集客に成功。女性向け衣服販売「BABYLON(バビロン)」の西原孝史代表は「たった3店舗の出店だが、人の流れや客層が目に見えて変わった」と驚きを隠さない。

「若手店舗が、若い客を呼び、別の若い客向けの店舗を呼ぶ。良い流れが構築したい」と岸理事長。現在も、若い夫婦から岡山にないブランドショップを奉還町に出店したいとの声を受けていると言う。若手店舗が増える一方で、既存店舗は経営者の高齢化により、閉店が増えているのも事実。今年5月に岡山市が行った空き店舗の調査では、平成20年11月の空き店舗率14.4%に比べて13.8%と改善しているものの予断は許さない状況に変わりない。近隣マンションから集客するには、野菜や、精肉、鮮魚など生鮮食品の店舗がないのもネック。さまざまな業種の店舗誘致が必要となる。

 また、毎月第一土・日曜開催の「奉還縁日」や、高校生による商品販売の「ネクスト奉還町」、移動式神社「小判君神社」などのイベントや企画も、一時的に人は集まるが新たな顧客開拓までにはつながっていない。岸理事長は「商店街だけでなく、西口全体として考え、“線”ではなく“面”として魅力的な街づくりに向けて取り組む必要がある」と訴える。

街と住民意識の変化必要

 商業力では、東口に劣る西口だが、マンションや、ビジネスホテルの集積など身近な見込み顧客は多い。東口と同じ集客策ではなくビジネスマンや大学生を取り込める独自の街づくりが必要といえる。「本当に活性化を図るなら、街を変えるだけでなく、住民の意識も変わらないと」との声もある。基盤が整った今、活性化に向けてこれからが本当のスタートといえそうだ。

本誌:2009年11.23号 4ページ

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