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[知的財産] 他社特許の成立阻止方法

Q : 他社特許の成立阻止方法

競争相手が出願中の特許出願の内容は、この業界では古くからよく知られたものですが、特許の審査をする人がそれを知らずに特許してしまうのではないか心配です。

A : 情報提供制度の活用

特許庁での特許審査は、特許出願内容が出願時において新しいものであるか等をチェックすることで行われます。その出願内容の新しさ( 新規性) は、遠い外国の田舎発行された新聞に記載されたギリシャ語の小さな記事1つによっても否定され得るものですので、本来調査対象とすべき資料は無限にあると言えます。そして、早期の特許権付与という観点から特許審査には迅速性が求められ、( 神様ならいざ知らず) 審査官という人間が行う現実の審査では、時には特許されてはならないものが誤って特許されることもあります。誤って特許されたものは、無効審判手続で無効にできますが( 特許異議申立制度は廃止)、費用等も要し、そもそも特許されずに拒絶されるべきです。

こうした中、特許審査の的確性及び迅速性を向上させるため、誰でも特許審査に有益な情報を特許庁に提供することができる「情報提供制度」が運用されています。ここにいう「特許審査に有益な情報」とは、特許してはならない理由( 拒絶理由) がその出願に存在しているという情報であり、例えば、新規性欠如( 新しくない)、進歩性欠如( 容易に考えつく)、書類の記載不備等といったものです。これにより提供された情報は、担当審査官が審査に着手する前までに届けば( 審査着手までに担当審査官に届くよう提出すべきです)、通常、その内容を担当審査官が検討し拒絶理由を発するかどうか審査します。

ご相談内容では、競争相手の特許出願は「古くからよく知られたもの」とのことですので、上の新規性欠如に該当し情報提供を行うことができます。但し、情報提供は、書面によって行わなければなりませんので、その出願内容が「古くからよく知られたもの」であることを示す書面( 例えば、カタログ、業界雑誌、仕様書等) を準備し提出して下さい。情報提供は役所費用( 印紙代) 不要で情報提供者も匿名とすることが可能ですので気軽に行うことができます。さらに、提供された情報のうち7 割以上が拒絶理由通知において利用されているとの話もありますので、他人の特許成立を阻止するのに大変有効な方法だと思います。

笠原特許商標事務所
弁理士・所長
笠原 英俊氏
岡山市北区野田2-7-12
TEL086-245-0440

本誌:2011年8.22号 25ページ

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