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巻頭特集林原スポンサー決定

再建は第2ステージへ  駅前土地に商業施設構想浮上

  • JR岡山駅前の林原所有地、9月に売却先を最終決定

 会社更生手続きを進めている㈱林原(岡山市)のスポンサーに化学品専門商社の長瀬産業㈱(大阪市、長瀬洋社長、資本金96億9971万円)が決まり、8月3日に契約を締結した。企業再建のカギを握るスポンサーの確保で、次の焦点は岡山駅前にある広大な土地の売却問題に移った。9月に一括売却する見通しだが、債権者への弁済や今後の街づくりにも大きく影響を与え、その動向が注目される。

支援企業の長瀬産業はバイオ事業強化

9月契約し一括売却目指す
評価額は100億~200億円

 管財人は、スポンサー選定と並行して林原の不動産の処理を進めてきた。その目玉はJR岡山駅前の約5万㎡の土地で一括売却する方針。7月までに既に1次入札を終え、現在第2段階に入っており、9月に売却先を決め契約にまでこぎ着けたい意向。

 管財人らによると、購入希望者から商業施設などの整備案が提示されているよう。業態、規模など詳細な内容は明らかにしていない。

 仮に商業施設なら周辺地区、地元商圏への影響はどうなるのか。「岡山一番街」「さんすて岡山」などを運営する山陽SC開発㈱の押川正大社長は「出店を止めることはできないので前向きに考えたい」と話す。「岡山市中心部にないカテゴリーキラーであれば補完し合える」と、業態によっては相乗効果も期待する。また、イオンSC増床、駅北の大型商業施設開業で勢いを増す倉敷商圏との都市間競争の中で、「表町地区を含めた岡山市中心部を一つの施設として考え地域の魅力向上につながれば」とも話す。一方で県南全域での過当競争を懸念する声もあり、いずれにせよインパクトは大きい。

 具体的な候補企業の名前や候補の業者数も明らかにしていないが、国内でも全国大手に絞られるだろう。市内の不動産関連業者によると、「評価額は100億~200億円」。ピーク時の20分の1~10分の1程度まで下がったが、それでも一度の投資額としては多額だ。さらに施設建設となれば「(一般的に)上物は土地の5倍くらい費用がかかる」。開発のノウハウなどの問題もあり、「手を挙げる業者は限られる」との見方が大勢だ。

 開発に際しては、許認可だけの問題ではなく行政との連携は不可欠だ。対象の土地を含めた岡山駅東地域を県、市が2003年6月に都市再生緊急整備地域の指定を国の都市再生本部に申請、7月に指定を受けている。同地域には(財)民間都市開発推進機構(東京都)からの金融支援、用途や容積率などの制限の除外-などの優遇措置がある。当時の旧「ザ ハヤシバラシティ」構想を念頭に置いたものだが、「現段階でも地域の指定はそのまま生きている」(岡山市都市計画課)。

 そのほか、関係者によると、駅前以外の岡山市内のほかの複数の遊休地も7月までに既に入札を実施しており、順調に売れているという。

人事交流でシナジー効果を
両者の拠点間の連携も促進

 林原への支援を決めた長瀬産業は、化学品専門の商社で国内業界トップ。1917年12月設立の老舗だ。主に化成品、合成樹脂、電子、ライフサイエンスの4つの事業を手掛け売上高(連結)は6602億円(2011・3期)。

 一般への知名度は低いが、製造業へは幅広く浸透。岡山県下でも染色、自動車部品、医薬品製造など取引先は多い。ある染色業者は「長瀬産業の子会社から染料を調達し取り引きは長い。堅実な社風の会社だ」と話す。

 財務内容も優良だ。自己資本比率は53.7%。負債純資産合計3753億円に対し純資産2093億円(うち利益剰余金1816億円)。老舗で長い年月を掛けて内部留保を積み上げてきた。

 同社が林原支援に乗り出した狙いは、「ライフサイエンス事業を強化するため」としている。中期経営計画(09年度から3年間)ではバイオ事業の強化を掲げているが、11・3期決算では主要4事業のうち唯一の減収。利益率も1.9%とほかの事業に比べ低い。

 今後は両者の人事交流も検討しシナジー効果を狙う。長瀬は兵庫県たつの市、京都府福知山市に製造拠点、神戸市に研究開発機能を持ち、岡山にも近い。地理的にも連携がしやすい。

中核3社を合併し全額減資
メセナ3事業当面引き継ぐ

 再建スキームでは、更生手続きを進めている林原の中核3社が地裁の認可を経て合併。合併後の存続会社の発行済みの全株式を長瀬産業が無償取得し償却する。その後、存続会社が発行する全株式を長瀬産業が引き受け子会社化する。長瀬産業は株式引き受けと貸付けで700億円を拠出。その全額を債権者への弁済に充てる方針。

 林原の約600人の従業員、拠点はそのまま引き継ぐ。
 また、8月3日付で東京地裁は長瀬産業専務執行役員の長瀬玲二氏を管財人に、財務部・経理部本部長の中村信之、ファインケミカル事業部バイオプロダクツ部統括の土居繁の両氏を管財人代理に新たに選任した。長瀬氏は経営に従事する事業家管財人として再建に当たる。

 メセナ事業では、林原美術館、林原自然科学博物館(恐竜)、類人猿研究センターは長瀬が当面引き継ぐが、将来的には不透明。

 更生計画案は11月18日に地裁に提出する予定。

本誌:2011年8.22号 4ページ
関連リンク:長瀬産業
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