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DIVE!!

 映画のロケ地を訪ねる「シネマで散歩」、今回は、平成20年に公開された青春ドラマ「DIVE!!」(監督/熊澤尚人、主演/林遣都、池松壮亮、溝端淳平)。ロケの行われた倉敷市児島のマリンプールと神社を訪ねた。

 倉敷市児島

(こんな映画)
 優れた動体視力を持つ坂井知季(林 遣都)、飛び込みだけを見つめてきたエリート選手冨士谷要一(池松壮亮)、天才ダイバーを祖父に持つ野生児沖津飛沫(溝端淳平)。3人は、女コーチ麻木夏陽子(瀬戸朝香)の指導のもと、高飛び込み競技でオリンピック出場をめざすのだが・・・。

 知季と飛沫が石段上りで汗をかいた小川八幡神社

 原作は、直木賞作家森 絵都の同名小説で、平成18年に出版された角川文庫版の上巻の解説を「バッテリー」の作者あさのあつこが書いている。「バッテリー」も平成19年に映画化されているが、2作とも主演が林 遣都、しかも、どちらも岡山で長期ロケが行われている。不思議なめぐり合わせを持つ2つの作品だ。

 「バッテリー」でデビューした林 遣都は、まだ幼い細身の少年といったイメージだったが、「DIVE!!」では、鍛えられた見事な腹筋がまぶしい飛び込み選手に変身している。もちろん映画の中でも、オリンピック出場めざして過酷なトレーニングに励んでいる。そんなシーンのひとつが撮影されたのが、倉敷市児島の小川八幡神社。

 瀬戸中央自動車道の児島ICで降りる。国道430号に出て、JR児島駅の東口を通過、小田川に架かる平成橋を渡って左に折れる。昭和橋の東詰めを通り、次の大正橋のところで右折するとすぐ左手に小川八幡神社の石段が見えてくる。ここだ。新任の女コーチ麻木夏陽子(瀬戸朝香)に、柔らかい体と優れた動体視力を見出された知季(林 遣都)が、同じダイビングクラブに所属するライバル2人、冨士谷要一(池松壮亮)、沖津飛沫(溝端淳平)に負けじと孤独な石段上りに挑戦していたのは。

 石段を上ってみる。急な石段だ。きつい。上りきったところにある随身門と思われる門を通って境内に入る。正面に拝殿、その奥に本殿。創立年代は案内板によると「確然タラズ」だそうだ。境内右手には祭具庫、御神輿庫がある。10月第2日曜日の例祭の日は大いに賑わうことだろう。

ここでは知季のライバル沖津飛沫もトレーニングをしている。彼が汗を流した石段は、私が上ってきた知季の石段ではない。立派な鳥居のある表参道側の石段だ。ライバルはトレーニングといえども同じ石段は使わない・・・。


 3人が挑んだ地上10メートルの飛込み台

 過酷な練習に耐え抜いたライバル3人は、オリンピック出場をめざして選考大会に出場する。この選考会のロケ地となったのが児島マリンプール。小川八幡神社から、直線距離にして約1キロの距離だ。

神社から先ほど来た道を引き返してマリンプールへ。すぐ隣が瀬戸内海という絶好の場所にある。白を基調にした明るくて鋭角的な建物正面のフォルムが美しい。館長の片沼裕二さん(50)に案内していただいた。

 事務所のある建物を通り抜け、外に出ると目の前に50mプール。9コースの本格的な屋外の競技用プールだが、片沼さんによると、一般の人の利用も考えて、水深調整が出来る可動床を備えているそうだ。今日は水深を浅めに設定し、近くの幼稚園児が課外学習でプール遊びをしている。にぎやかな掛け声が、9月だというのにうだるような暑さが続く青空の下ではじけている。

プールサイドに出て右に目をやると、瀬戸の海をバックに、私を手招きするような形で、5つの飛込み台がまっすぐに立っている。その下に鮮やかなマリンブルーの水を湛えた飛び込みプールが広がっている。

「真ん中の一番高い飛込み台が高さ10mで、左右に7,5m、5m、3mの台があります。林 遣都くんら3人はあの10メートルの台から見事に飛び込んでいました。彼らは、撮影前に合宿形式で飛び込みのトレーニングをしたそうです。着水シーンなどは本物の飛び込み選手がスタントで飛んでいましたが、スタッフを含め彼らの映画にかける情熱には本当に感心しました。私たちも出来るだけ協力してあげなければ、と思わせるすごさでした」と、片沼さん。

 10mの台を下から見てみる。高い。あの台の上に立って、両手をまっすぐに挙げ、台の上を軽やかにゆっくりと進みながら大きくジャンプする知季ら3人の選手たち。そんなシーンを思い出すと、なんだか胸が熱くなってくる。
 飛び込みプールのすぐ後ろには、キラキラと光り輝く瀬戸の海が広がっている。顔が焼けるような暑さだが海風が心地よい。風の強さを知るために取り付けられている小ちゃな赤い鯉のぼりが、7メートルの飛込み台の下で元気よく泳いでいた。                (おかやま魁 鷹取洋二)
「DIVE!!」
 ・平成20年(2008)、「DIVE!!」製作委員会作品
 ・DVD(通常版)発売中/価格 ¥4,700(税抜) ¥4,935(税込)
 ・発売元・販売元/角川映画

本誌:2010年10.18号 23ページ

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