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特集ICT特集 解説 プログラム言語「Ruby」 おかやまOSS研究会会長 安原秀昭氏

システム開発費を2割程削減 地域の競争力高めるツールに

  • 安原秀昭氏

 最近IT業界で注目を集めているプログラム言語「Ruby(ルビー)」。岡山県下でも開発に取り組む企業が徐々に増えてきている。どのような機能や特徴があり、今後どのように活用の幅が広がっていくのか、(社)システムエンジニアリング岡山(SEO)の下部組織で、ルビーをはじめとしたオープンソースソフトウェア(OSS)の勉強会を行っているおかやまOSS研究会会長で㈱トスコ西日本営業部部長の安原秀昭氏に聞いた。


■ルビーはどのようなもので、どのような特徴がありますか。

 ルビーは、ソフトをプログラムする時に使う言語で1993年に開発され、95年に発表されました。開発者は島根県在住のまつもとゆきひろ氏(㈱ネットワーク応用通信研究所所属)で、国産言語として注目されています。名称は、普及しているプログラム言語「Perl(パール)」に引っ掛けて宝石の名前から付けたようです。開発ツールやライセンスの購入が不要で、誰でも無償で使用できるオープンソースの形で公開されたため世界中で利用されています。

 まつもと氏が開発する上で掲げている「簡潔さ」「書き易さ」「生産性の高さ」が反映された言語で、低コスト、早期実現、高生産性が特徴です。一般的な言語と比べ、同じ命令を書いた場合、記述分量は約3分の1に抑えられます。また、フレームワークと呼ばれるアプリケーションの土台が多く公開されていることも手伝って、開発時間を20~30%削減できると言われています。

■企業にとってルビー開発システムを導入するメリットは。

 安価にシステムを導入できる点が一番のメリットです。短時間で開発でき、ライセンス費用なども掛からないため、他言語開発のプログラムと比べて、約2割程度安価に開発できると言われています。県内でも、勤怠管理システムや申請受理システムなどルビーで開発されたシステムが導入され始めています。

 しかし、プログラムの実行速度がやや遅い、ルビーに対応していないレンタルサーバーが多いなどのデメリットもあります。開発事例も多言語と比べて少ないため、ビジネスシーンで考えるとまだまだ、これからという感は否めません。ルビーの特色を技術者、ユーザーがしっかりと理解し、システム開発を進めていく必要があるでしょう。

■岡山県下では、どのような動きが見られますか。

 県内では、2008年にSEO主催のセミナーでまつもと氏が講演したことをきっかけに注目されるようになってきました。SEOが岡山県から委託を受けて「おかやまRubyビジネス活用推進事業」として普及啓発セミナーや技術者育成講習会などを定期的に開催。現在県内で、具体的にビジネスとして開発に取り組んでいるのは4社程度ですが、中国経済産業局の委託事業「Ruby入門コース認定試験対策研修」には20人の定員を上回る25人の申し込みがあるなど関心が高まってきています。

 行政でも、岡山県が、昨年12月、県下初となるルビーに限定したシステム開発を実施。今年5月に産学官連携のコンテンツネットワークを拡大するためのポータルサイト「おかやまコンテンツスクエア」が開設されました。また、県下の商業高校では、EDI(電子商取引)の教育に言語教育の時間短縮が図れるルビーの導入を検討。専門学校ビーマックスも積極的に取り組むなど教育機関でも活用の動きが活発化してきています。

■今後の展開は。

 島根県では、行政が主体となり、積極的なルビーへの切り替えが進んでいます。岡山や倉敷市などでもオープンソースに目が向き始めています。早期に普及を図るためには、産学官の連携が不可欠です。ルビーを、産学官連携の1つの技術として盛り上げていくことで、ユーザーはより安価にシステムを導入でき、地域ベンダーの開発業務創出にもつながります。東京一極集中型のIT業界の中で、ルビー開発が地方の競争力を高めるツールとなることに期待しています。

<おかやまOSS研究会>
 SEOが中心となり、昨年8月に開設したルビーの勉強会。SEO会員に限らず、誰でも参加可能。年4回会合を開き、講師を招いてのセミナーや報告会などを実施している。

本誌:2010年10.18号 19ページ

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