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[知的財産] 登録済の実用新案を特許に

Q :1 年ほど前に実用新案出願し実用新案登録された弊社製品の売れ行きが好調なので、実用新案よりも権利期間が長い特許として出願しておけばよかったと後悔していますが、何かよい方法がありますか。

A : 実用新案登録に基づく特許出願

実用新案権は出願から1 0 年で満了するのに対し、特許権は原則的には出願から2 0 年で満了しますので、両者は権利期間が大幅に異なります。そして、実用新案制度及び特許制度は、いずれも技術的アイディアに権利を与えるもので、両制度の一方で権利化を目指しても出願後の環境変化等に応じては他方に乗り換えた方がよいこともあります。このため両制度間での出願変更制度( 出願中のものが対象) が設けられると共に、既に登録された実用新案登録
( 通常、出願から数ヶ月程度で早期に登録されるため) から特許出願への乗り換えが次の① ~ ④ の場合を除き可能です。但し、この乗り換えの特許出願を行う場合は、その基礎の実用新案権を放棄しなければなりません。

① 実用新案登録出願日から3 年を経過したとき

② 実用新案登録の権利者や出願人が実用新案技術評価( 特許庁が作成する権利の有効性評価) の請求をしたとき

③ 実用新案登録の権利者や出願人でない者から実用新案技術評価の請求があった旨の最初の通知を受けた日から3 0日を経過したとき

④ 実用新案登録に対し請求された無効審判手続において、最初に指定された答弁書提出期間が経過したときご質問の例では、出願からまだ1 年ほどですので① は満たされ、実用新案技術評価がまだ請求されていなければ②及び③ も満たされ、さらに無効審判の請求がされていなければ④ も満たされますので、実用新案登録に基づいた特許出願が可能です。この特許出願と共に実用新案権を放棄することで、基礎となる実用新案登録の内容をそのまま特許出願することができます。

このように原則的には実用新案登録は出願から3 年以内であれば特許出願に乗り換えることができますが、ご自身で実用新案技術評価を請求すると② により乗り換えできなくなりますし、③ 他人から実用新案技術評価が請求された場合や④ 無効審判が請求された場合は特許出願への乗り換えをするか否かを早急に判断する必要がありますので注意してください。

笠原特許商標事務所
弁理士・所長
笠原 英俊氏
岡山市北区野田2-7-12
TEL086-245-0440

本誌:2014年4.14号 27ページ

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