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21世紀の世紀末

 先日台風17号が近畿地方に接近した日、来日中のカナダの親戚一家と大阪で会いました。道頓堀や心斎橋を案内しようと計画を立てていたのですが、おりからの暴風雨でホテルから出ることができず近くのしゃぶしゃぶの店で夕食を取りました。

 50代の夫婦(デニスとデボラ)と20代の息子、娘の4人家族ですが、夫婦はどちらもすでにリタイアし、子供達はようやく働き始めたところです。日本では定年を65歳まで延長させる話が議論されていますが欧米では多くの人が1日も早くリタイアして第2の人生をエンジョイしたいと口をそろえて言います。

 実際、デニスとデボラは日本に来る前フランスやイタリアの田舎に1カ月滞在し、自転車を借りて毎日サイクリングし、おいしいワインと食事を堪能したと楽しそうに語っていました。息子と娘はそんなに長い休暇を取れないのでシンガポールと香港を旅したあと東京で両親と合流し大阪にやってきたそうです。

 しゃぶしゃぶの食べ方を一同に伝授しながら、40年前自分も20代の若者だった! 今目の前にいる、すっかり中年のおばさんになってしまったデボラも昔は中学生か高校生だった! 過ぎ去った歳月がいかに疾く過ぎ去ったことか、私の父の兄である伯父夫婦(デボラの祖父母)はすでになく、従兄弟たちもすっかり年老いてしまった……などとセンチメンタルな思いに捕らわれました。

 そして隣に座っている子どもたちに肉を取ってやりながらこんなことを尋ねました。「21世紀の世紀末って世界はどうなっているかなあ? 世界はまだあるのだろうか? 20世紀前半生まれのおじさんは、どっちみち21世紀後半を見ることはできないけど」。

 彼らは何とも答えず笑っていましたが、たぶんカナダは大丈夫でしょう。広い国土、リベラルな政治風土、高い教育・生活水準、資源も食料も十分あるうえ、隣り合う国はアメリカ合衆国だけと地政学的にもリスクは最小です。

 それにひきかえ、日本の50年後を想像することは困難です。1000年に1度あるかないかの巨大地震が起き、絶対安全と言われていた原発はあっけなく崩壊・爆発し世紀末的予兆はすでに現実のものとなりました。そして何よりも怖いのが困った隣人中国の政治的、経済的暴走、暴発です。

本誌:2012年10.15号 12ページ

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