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雪舟への旅

 今年は雪舟没後500年にあたり、11月末日まで、山口県立美術館において国宝6点を含む61作品が一挙に公開されています。

 岡山生まれの雪舟が、大内氏の庇護のもと、山口でその才能を思う存分開花させたのは、岡山県人として少し悔しい気もしますが、洋の東西を問わず才能はよりよいパトロンを求めて移動していくものですね。

 さて、雪舟の全作品の中で最高峰のものが有名な「四季山水図巻」、いわゆる「山水長巻」です。長さ16mの巻物に季節ごとのシーンが連続して描かれています。

 垂直にそそり立つ山の間を、隠者が道を求めてどこまでも孤独に歩いていく。行き着くところにはいったい何があるのだろう?と思って続きを見ると、意外にも広々とした湖のほとりに出ます。

 湖には船が浮かび、水上生活者らしき人たちの楽しい日常。船には巨大な洗濯物が干してあったり、鉢植えの観葉植物が置かれていたり。

 さらに進むと秋の収穫を喜ぶ農民の祭りに遭遇し、家の中でくつろぐ家人の姿が窓越しに見えます。このあたりの描写になると筆のタッチががらりと変わり、定規で平行線が何本も描かれていたりします。何やらデジタルな風景なのです。

 山水画というと古めかしく古代の老荘の世界を想像してしまいますが、時は既に15世紀。雪舟の絵にはダ・ヴィンチやラファエロなど、ルネッサンスの天才たちに共通する近世の明晰さが感じられました。

 特別企画展「雪舟への旅」は30日までです。なお、「山水長巻」は防府の毛利博物館において30日まで公開中です。

本誌:2006年11.20号 12ページ

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