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巻頭特集倉敷チボリ公園県営化への課題PARTⅡ

指定管理者巡り県主導で協議継続中 県外客誘致で攻めの営業に転換

  • 大盛況のあるある備中探検隊(有力イベントで人は集まる)

 倉敷チボリ公園(倉敷市寿町12-1)の県民公園化に向け、岡山県、チボリ・ジャパン(株)(TJ、同所、坂口正行社長、資本金160億9000万円)で準備を進めているが、遅々として進まず目立った進展が見られない。12月定例県議会への条例案上程の期限が迫る中、関係者らには焦りの色も見え始めた。TJ社とデンマーク本家のチボリ・インターナショナル(TI)との運営契約交渉で、指定管理者制度を巡り協議を継続中。倉敷紡績(株)(クラボウ、大阪市)との地代交渉も続いているが、結論はまだ。支援体制を巡る県と倉敷市との協議も前提条件が整わず具体的な議論には入っていない。一方で、政治問題とは別次元で、当のTJ社では坂口新体制になり自社でできるところから改革に着手。合理化一辺倒から脱却し、集客増に向け“攻め”の経営に大きく方向転換し動き始めた。

デンマークとの交渉 地代交渉 倉敷市の支援

固定資産税免除は21年度から

  運営契約の交渉での主な合意点は、(1)TJ社がTI社にロイヤルティーを年間500万円支払う(2)入園者数が100万人以上となった場合は営業粗利益に一定料率(0.05%~)を乗じた追加料金をTI社に支払う(3)年2回ワークショップを開催し同公園運営について協議、その開催費(年間300万円)をTI社に支払う―など。

 提携関係を維持し、活況に沸くデンマーク本家のノウハウを可能な限り導入し集客増を図るという点で、両社の意見が一致した。

 ただし、指定管理者制度導入についてデンマークに同制度がなく持ち帰り慎重に協議するとして、9月の交渉では回答を保留。その後、10月18日にTI社からTJ社に「指定管理者制度について疑問があり現時点ではただちに同意できない」として再度説明を要求してきた。

 TI社側の疑問とは(1)(県営公園化に伴い導入する)同制度はTJ社の同公園運営にどのような制約を及ぼすか(2)(運営契約の期間は10年だが)指定期間(3年)に関しTJ社の継続運営は可能か―の2点。

 TI社との直接の交渉はTJ社が窓口となりファクスで行っているが、同制度の回答については、県の制度のため県がTI社向け資料を作成するなど、事実上主導権は県に移っている状態。

 県では、疑問(1)に対し「制度の趣旨からして制約の中でも民間のノウハウを生かし様々な取り組みは可能」、(2)に対し「3年経過後も倉敷チボリ公園の運営が順調で安定していれば引き続き指定することは可能」―という内容で、TI社に回答していると言う。

 坂口社長とラース・リーブストTI社長との交渉でも「色んなデータ、実例を示し詳しく説明した」(坂口社長)が、理解してもらうのはなかなか難しそう。

その後も、11月14日時点でTI社側から「同意の回答が得られていない」(TJ社、県地域振興課)という状況で目立った進展はない。

 また、TJ社では、18~20年度の3年間の経営再建計画を策定し年内に提出するよう、県から求められている。「平成20年度に入園者数120万人、売上高33億円で収支トントンにする」(坂口社長)という数値目標を骨格に策定中だが、TI社との運営契約の内容とも絡んでくるだけに、提出時期は未定だ。

 当初のスケジュールでは、12月中旬に坂口社長がデンマークを訪問し正式契約に調印、県では県民公園化条例の議案を12月定例県議会に上程する予定だった。しかし、タイムリミットは迫るが、全く見通しが立たず微妙になってきた。

税金取らない財政支援?

 財政支援も含めた支援体制を巡る岡山県と倉敷市との協議も平行線のままで進展はない。古市健三倉敷市長は「公園存続のための協力は惜しまないが、新たな税金投入はしない」という従来のスタンスを変えていない。

さらに、同市では「県の県民公園化の条例化やTJ社の再建計画の内容などを見極めてから、どのような協力ができるか、検討したい」(企画課)としている。

  焦点の財政支援については、倉敷市が直接TJ社に税金を追加投入しなくても、同公園を県営化することでTJ社の負担を軽減させることは可能だ。そうした手法を模索している節もある。

  県では現在、同公園内の県所有の建物をTJ社に無償貸与。県ではこれらの施設で収益事業を営んでいるとして、倉敷市に固定資産税相当額を「国有資産等所在市町村交付金」として支払っている。直近の数字で年間約8000万円。県ではその全額をTJ社から徴収している。TJ社が事実上県経由で倉敷市に固定資産税を払っている格好だ。

それが、同公園が県営化されると、行政上の施設となり倉敷市への税金の支払いも免除される。それに伴いTJ社の負担も軽減される。

  もっとも、この点について県と同市で詰めたところ、仮に19年度に県営化されても、20年度までは同交付金を金額は8000万円より下がるが従来通り支払わなければならないという結論になったよう。19、20年度の2年間の課税基準となる18年3月末時点で県営化されていないためだ。実際に同交付金負担がなくなるのは21年度からとなり、TJ社の20年度までの再建計画にこの恩恵は反映されないことになる。

算式以上の引き下げ要望

 路線価の公表を受けて、地主のクラボウと岡山県とで、19年度分からの地代を巡っての引き下げ交渉も本格化している。

 契約では、当初の地代(年額)は「相続税評価額×6%+公租公課」で算定した額をミニマムとして協議し決定、その後3年ごとに見直す―というもの。16年改定分では7億1700万円。そのうち県が8割、TJ社が2割負担している。地代が下がると、TJ社の経営にもメリットがある。

 算定根拠となる路線価が8月1日に発表され、同公園周囲で1平方メートル当たり6万5000円で前年比7.1%減。15年度は基準が違い単純比較は難しいが、近隣で同7万5000~8万3000円で、それとの比較では13~22%減。算式によると、地代もそれに応じた引き下げになる見通し。

 その中で、今までの県議会での「地代が高い」との批判から、岡山県は「算式による金額以上の引き下げをお願いしている」と言う。これに対し、クラボウは「契約に定められた計算式の範囲内」での金額を主張しており、「双方の主張の溝は(11月14日時点で)まだ埋まっていない」と言う。

 岡山県では、12月定例県議会前の「11月中には決着を付けたい」考えだが、こちらもめどがたっていない。

旅行代理店営業を復活へ

TJ社の経営面では、公園の魅力を高め、減少傾向が続く入園客数をいかに上向かせるか、合理化一辺倒から“攻め”の経営が今後の大きな課題だ。

そのための施策として、TJ社では今秋から旅行エージェント向けの営業を強化、県外客誘致に本腰を入れ始めた。ここ数年は、コスト削減とともに地元客の獲得に力点を置いてきた営業戦略を見直し大きく方向転換。地元客を安定顧客と位置付け確保するとともに、県外客を上乗せし入園客数のアップを狙う。県外客は県内客よりも全般的に客単価が高く、県外客の比率を高め全体の客単価上昇も見込む。

今までは地元客重視だったため、その分、旅行エージェントとの関係が開園当初より薄れてきており、それを復活させようというもの。

同社では、関西、中国、四国方面など地域ごとに重点エリアを決め営業要員を集中投下し、ローラー作戦を展開している。19年度からの指定管理者制度の新体制移行に伴い、入園料大人2000円から1500円への引き下げを検討中で、新料金体系を契機に旅行エージェントを回り、来春以降の旅行商品づくりを促していく。

社内改革では、10月から目標管理制度を導入した。各社員に目標を提出してもらい、PDCA(「計画」「実施」「評価」「改善」)のサイクルで全社員のレベルアップを図っていく。

メンテナンスも強化。大規模なものとしては、来年1、2月の休園期間中にチボリタワーの外壁の塗装修繕、チボリ湖の湖底の清掃など行う予定。

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