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ノウハウは知識ではなく人のあり方である

 来春は大学を恣意的に卒業しない学生数が過去最高となる見込みです。これは雇用情勢のみならず、在籍だけなら授業料減額・免除という大学が増えたことと、就職留年に対して家族が理解を示すようになったことも後押ししています。無論、彼らは来年度も就活することとなり、さらに厳しい就職戦線が予想されています。ビジョン無き雇用政策のツケが不景気と相まって混迷の度を深めており、遅効市場である雇用が上向くには少なく見積もっても3年以上かかりそうです。

できる理由は説明しづらい

 国内外に不安材料を抱える日本経済ではありますが、経営リスクを低減させるには「自社の成長」という内部要因を棚上げにはできせん。安価な製品がグローバルトレードされる現代において、第一次・第二次産業はもちろん、サービス業を筆頭とする第三次産業さえ上位技術による差別化が重要度を増しています。つまり、ビジネスノウハウを積み上げていける人材であり組織でなくては、勝ち残りは容易ではないのです。そのために、鉄じぃが注目するのは「PDCAサイクル」によるマネジメントです。

PDCAサイクル
 PLAN:企画・計画→DO:実施・実行→CHECK:評価・確認→ ACT:改善・理念の確認→次のPLAN

 品質管理から始まったこの概念は広く知られているにも関わらず、自社や個人の行動レベルに落とし込むのは難しいと言われています。このスキルに限りませんが、できている人は何故できるのか説明できないのです。

失敗こそPDCAの好機である

 何を発端としてPDCAを動かし始めるとよいのでしょうか。そのチャンスは「計画の失敗・頓挫」「目標未達」等、気持が落ち込む瞬間にあります。どうしても職場で失敗をすると、原因追及になりがちです。ひどい場合は犯人捜しになるかもしれません。こうなると完全に思考停止です。先のことは誰にも分かりませんから、仮説を立て、勇気を持って挑むのです。その挑戦に対して後ろにいる味方から背中を撃たれるような環境では、PDCAを望むべくもありません。劣悪な環境は日和見を生み、トップが意思決定するまで誰も動かなくなるのです。前向きな話ができる環境整備が前提条件となります。

 次に会議の進行をする立場にある人が、このような問いかけをしてください。「もし計画段階(過去)の我々にアドバイスを送るのなら、何を伝えますか?」(「結果を教えて止めさせる」は禁止です)プラン→ドゥは日々行われています。しかし、ドゥと並行して機能するはずのチェック、次段階のアクションへ進めない人は意外と多く、「もし計画段階の・・・」が次のステージへ誘う魔法の質問となります。このとき「Why(できなかった理由)」よりも「How(やれる方法)」を考えるようにリードしてください。成功と違って失敗には必ず明確な原因があります。原因から課題を考える習慣がつけば、次のプランは自ずと成功率が上がり、これこそが自社ノウハウとなるのです。

PDCA導入のコツ

① 組織のPDCAには個人スキルも必要
② 緊張と恐怖で支配しても動かない
③ 高すぎる目標を掲げない
④ 初めはPDCAサイクルを短く回す

 個人が仕事や生活にPDCAを導入するには、腹を立てたり不安になったときがチャンスです。おそらく、何かを失敗したり、誰かが思ったように動いてくれなかったはずです。そのとき、自分にこう問いかけてください。「もし、過去の自分にアドバイスするとしたら、何を伝える?」と。

 ノウハウを蓄えると、事業レベルが上がります。アイディア→ドゥの平面的な繰り返しではなく、大きなスパイラルが空へと駆け上がっていくイメージでPDCAサイクルを回し続けください。

筒井徹也(鉄じぃ)
(有)エヌティ・クリエイト プランナー
倉敷芸術科学大学 観光学科 非常勤講師
キャリア・コンサルタント

本誌:2011年1.17号 21ページ

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