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巻頭特集倉敷駅北のにぎわいを駅南へ

“800万人”を取り込め

  • JR倉敷駅南側。南北の動線は細い

 年内にJR倉敷駅北側の倉敷チボリ公園(倉敷市寿町)跡地にイトーヨーカドー倉敷店、アウトレットモールなどの大型商業施設「倉敷駅北口ショッピングセンター」がオープンする。年間800万人の来店が見込まれ、チボリの全盛期の同300万人をはるかに上回る。その駅北の賑わいをいかに駅南に誘導し商店街の活性化につなげるかが、今の倉敷市の街づくりの大きなテーマとなっている。各方面からさまざまな意見が出され、駅南北の回遊性確保に向けて、あの手この手の模索が続く。

【駅南大型デッキ】【ノスタルジック商店街】【電子看板】

「大型ペデストリアンデッキ」
駅北と商店街を一気通貫
高架化との整合性が課題

 倉敷商工会議所などが関わる倉敷市中心市街地活性化協議会(岡荘一郎会長)では、倉敷駅南側のバスターミナルや国道429号の上に広場を兼ねた大型ペデストリアンデッキ(歩行者専用通路、約1ha)を設置する案が浮上している。商店街などから要望は根強いが、鉄道高架化事業との整合性など課題も多く、「現在調査研究に努めその実現可能性を探っている段階」だ。

 駅北側では既存の円形デッキの先端と大型商業施設とを2階部分で接続する方向で倉敷市と事業者らで協議が進められている。さらに、その反対側の駅南でもデッキを整備することで、商業施設と南の商店街がダイレクトに結ばれ駅南北のアクセスが向上する。デッキ上の広場でイベントを実施すれば南への誘客にもつながる。現状は駅前東西の両ビル2階に細い通路があるだけ。それを太くするというもの。

 同様のデッキ構想は、10年前にも市や商工会議所の街づくりへの提言の中に盛り込まれたことがある。当時は商店街の入り口の区域で天満屋を核テナントにした阿知2丁目市街地再開発計画が進行中。デッキと再開発ビルを結び駅から同ビルや商店街に誘客するというものだった。

 その後、再開発計画が中止となりデッキ構想も自然消滅したが、その間も商店街関係者の間では設置への要望は潜在していた。それが今回の大型商業施設誘致を機に再度浮上した。

 これに対し、倉敷市は慎重な姿勢。昨年11月の定例市議会で伊東香織市長は「駅南の抜本的な整備は鉄道高架事業と合わせて実施」と答弁している。鉄道高架の具体的な姿が見えない以上、現段階では同案を含めた大規模な改修は二重投資になる恐れがあるからだ。そのスタンスは従来と変わらない。

 ただ、駅南のバリアフリー対策は不備な点が目立ち、「早急にバリアフリー化などできるところから取り組みたい」と答弁した。現在駅南の地上と2階の移動で車いす利用者は駅東西の両ビル内のエレベーターしか手段がない。その両ビルとも夜間は閉鎖され利用できない状態だ。市では「具体的な対策は今後詰める」(交通政策課)と言い、バリアフリーという切り口でわずかながらアクセス改善に前進した格好。

 しかし、抜本的な整備の前提となる鉄道高架化は、事業主体となる岡山県が消極的で見通しが全くたたない状況。それに対し、最近は市議会からも批判が出てき出した。

「ノスタルジック商店街」
倉敷駅前商店街を活性化
時代ごとイメージづくり

 「駅北のにぎわいを南に誘導するには、受け皿の商店街の魅力づくりが必要」と話すのは「倉敷駅前商店街を熱く語る会」(岡晃会長)の顧問でチボリ・ジャパン社元社長の坂口正行氏。同会は昨年2月に発足、毎月第2火曜日に倉敷物語館に集まり駅前商店街の活性化などを協議している。商店街では、ここ数年目立った動きがなかったが危機感から活性化に向けた動きが出てきた。

 自由闊達な意見交換が特徴でさまざまなアイデアが出され、「商店街タイムトンネル構想」もその1つ。美観地区に近い本通り商店街は大正、昭和初期の建物が多い。えびす通商店街は古くからのアーケードで昭和30、40年代のイメージが強い。駅に近いセンター街は平成のイメージ。商店街ごとに各年代のイメージをPRし、駅から美観地区にかけて平成から明治までの連続性を生かしストーリー性をつくりあげノスタルジックな街づくりを進める。

 本通り商店街では、既に国のまちづくり交付金を使い伝統的な町並みを整備している。また、幕末に長州藩の奇兵隊が代官所を襲撃したという倉敷・浅尾騒動の舞台でもあり、同商店街の店舗にはその時の銃弾の痕も残されている。そのほか、船着き場だった名残など歴史的な資源も多く、「そうした数多くの歴史的な逸話を掘り起こし物語にまとめ、商店街の魅力にしていきたい」と言う。

 えびす通商店街では、「ばっくとう・ざ昭和」として空き店舗前に昭和時代の映画のチラシを掲示している。

 そのほか、年間300万人の来場がある美観地区、特に大原美術館との連携策も模索している。

 熱く語る会は、倉敷商店街振興連盟副会長の岡氏が「何とかしなければ」と商店街の将来に危機感を抱き、坂口氏と会い、「できるところから何か始めよう」と話し合ったのがきっかけ。当初会員7人で発足したが、現在31人。商店主のほか、市職員、市議、企業経営者ら顔ぶれは多彩だ。岡会長は「商店街以外の人の意見など刺激になる」と話す。

 坂口氏は「今までいろいろ検討してきたが、今後は具体的な実行に移す段階」としている。

「デジタルサイネージ」
観光情報など魅力を発信
1号機でのノウハウ活用

 市中心市街地活性化協議会では、倉敷駅周辺にデジタルサイネージ(電子看板)を設置する案も浮上している。動画、静止画を組み合わせPR効果が高く、美観地区や商店街の情報をタイムリーに発信する。ソフト面での誘導策となるものだ。

 事業主体は㈱倉敷ケーブルテレビ(倉敷市)の予定で、同社は既に昨年2月に美観地区内の倉敷物語館に1台設置。同社本社の専用サーバーと同館にあるディスプレーとをネット回線で接続し、観光客向けに観光、イベント情報を提供している。同社の自主番組用に撮影した映像を2次利用することで、コンテンツの制作費用を抑えることも可能だ。

 具体的な設置場所などは未定。看板1号機でのノウハウ蓄積などを踏まえ、今後細部を詰めて関係方面に提案する。

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