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[賃金] 社員の賃下げ

Q ここ数カ月大幅な赤字が続いています。「賃下げ」を考えなければならない状態になっています。「賃下げ」実施の注意点を教えてください。また、私の会社には労働組合はありません。

実施には合理性の補強も必要

A 労働組合がないということですので、労働協約の拡張適用等は省略します。まず、就業規則に「賃下げ」条項等があるかどうかです。就業規則にこのような場合はこのくらいの「賃下げ」をこのような社員に実施するとかが定められていれば、それに基づき実施すればいいわけですが、一般的には定められていないようです。そうすると、労働契約法第9条により、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」と定められているので原則としてはできません。

しかし、同じく労働契約法第10条に「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。」と定められ、「賃下げ」という不利益変更に合理性等があれば有効と判断されています。では、どのような場合に合理性があるのでしょうか。参考判例として第4銀行事件(最高裁第2小法廷H9.2.28判決)に「●就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度●使用者側の変更の必要性の内容・程度●変更後の就業規則の内容自体の相当性●代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況●労働組合等との交渉の経緯●他の労働組合又は他の従業員の対応●同種事項に関するわが国社会における一般的状況等を総合考慮して判断する」とされ、合理性の判断を示しています。ご質問の会社の実情がわからないので、はっきりとは言えないのですが、数カ月大幅な赤字が続いている等から高い必要性はあると前提すれば、激変緩和措置・経過措置・代償措置等を設けて合理性を補強するといったことも必要でしょう。当然、全員からの同意書を得ることが合理性の確保としてはいいのですが。

双田社会保険労務士事務所所長
双田 直氏
岡山市北区野田4-1-7

本誌:2010年2.1号 22ページ

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