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ジャーナル岡山県が財政危機宣言

基金底つき再生団体転落も 石井県政初期と「質」違うピンチ

  • 財政危機宣言の岡山県

 収支不足が埋まらず財政再生団体転落の恐れがあるとして、岡山県は「財政危機宣言」を行い、庁内のプロジェクトチームで歳出構造の抜本的改革に着手した。基金もほぼ底をつき、10年間で2000億円規模の収支不足が見込まれる状況をしのぐにはかなりの大ナタを振るう必要がある。ただ、石井正弘県政3期12年にわたる懸命の行財政改革で「県財政はかなり改善していたはず」と、ここに来ての宣言は唐突な印象もある。県財政の現状と、危機の内容を検証する。

 県の収支見通しによると、行革努力に応じて発行が認められる行政改革等推進債を目いっぱい充てても、平成21~30年度の10年間で約2255億円の収支不足が生じる見通し。県の“貯金”に当たる財政調整基金などは底をつき、ここ数年は特定目的基金からの借入でしのいできたが、これも約9億円を残すのみとなっている。

 20年度決算から適用される自治体財政健全化法では、標準財政規模が約4000億円の岡山県の場合、赤字が約160億円(実質赤字比率3.75%)で財政健全化計画を策定し自主的な改善努力を図る財政健全化団体、約210億円(同5%)で予算編成や事業執行が国の監督下に置かれる財政再生団体となる。現状のままでは21年度137億円、22年度168億円の収支不足が見込まれ、「イエローを飛び越しいきなりレッドカードで、自主的な県政運営ができなくなる」と県財政課。岡山県が夕張市と同じような状況に追い込まれかねない事態というわけだ。

 平成9年以来、県では3次にわたる行財政改革に取り組んできたが、当時表面化していた危機は20%を超えると一部の事業債発行が制限される起債制限比率。長野県政時代に多額の県債を発行して積極的な事業展開を図ったこともあり一時は19%を上回る水準だったが、19年度には14.3%まで低下。県債残高、公債費なども順調に減っている。これに対し、今回の危機は毎年度の収支不足。「家計で言えばやっとローン支払いにめどがついたが、生活のためのキャッシュがない状態」――。県財政課では、現在の財政状況をこう説明する。

 小泉内閣時代(平成16年)の三位一体改革で、県の交付税収入は300億円単位で減少。税源移譲が不十分なままでの改革に各自治体は基金の取り崩しなどでしのいできたが、人口規模や財政力指数が同規模の県が平均で400億円近い残高があったのに対し、岡山県はその時点で既に基金がほぼ底をついており、いち早く危機が表面化することになった。

 ちなみに、橋下徹知事の取り組みが注目される大阪府の場合、問題視されているのは岡山県がかつて苦しんだ実質公債費比率で、現状のままでは28年度に財政健全化団体の基準となる25%を超えるというもの。単純比較はできないが、「過去3年間の平均値をとる公債費比率は改善効果が表れるまでに5~10年かかり改善の方策としては大変だが、とりあえずのキャッシュがない岡山の方が緊急度は上」(県財政課)という。

 県のプロジェクトチームでは9月議会前に基本方針をとりまとめ、12月議会までに最終案を取りまとめる方針。行革等推進債、退職手当債発行額が同規模県の中で群を抜いて多く、給与カットなどの独自努力も長く続く中で「(特定目的基金からの借入など)裏ワザはもう使えない」(同)状況。国の財政状況から地方交付税の大幅増額は考えにくく、裁量の余地がある一般財源が充てられている単県行政施策費、国庫補助事業費などのほか、県では指定管理者の指定替えに向け11月をめどに県施設の在り方を検討する予定で、年間250億円余りに上る運営費削減に向け思い切った見直しも求められる。

本誌:2008年6.16号 7ページ
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