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連載記事イマドキ大学生が社長に聞きたいコト!

村楽エナジー 起業は目的達成への手段

  • (左から)椿貴裕さん、田中優樹さん、矢吹勇人さん

 大学生が地元企業社長にインタビューする「イマドキ大学生が社長に聞きたいコト!」の2回目は、岡山大学ベンチャー研究会の3人が、西粟倉村のベンチャー企業「村楽エナジー㈱」の井筒耕平社長を取材しました。手触り感のある仕事にあこがれ移住し「村を楽しくするためのエネルギーとなるような会社を目指す」と話す井筒社長の姿は、学生たちにどのように映ったのでしょうか。

 再生可能エネルギーのトップを走り続ける村楽エナジーの井筒耕平さんのこれまでの人生は波乱万丈だった。大学時代はベンチャーに興味はなく、スポーツに打ち込むのが日課だったが、太平洋で2週間の水産乗船実習を経験し、地球規模で考えるきっかけとなった。

 院生時代に海外に興味を持ち始め、静岡の海運会社の内定を得る。もともと海が好きで2年間勤めたが、当時の社内の様子を見て徐々につまらないと感じ始めてしまう。27歳で自分が何をしたいのか分からなくなり、もう一度大学院で学び直そうと決意した。博士取得後、東京のNPOに入社し、再生可能エネルギー利用促進の国の政策にも関わった。自分の専門分野を存分に生かし、社会にもある程度のインパクトを与えることができる仕事に初めは満足していたが、徐々に人と対面で関われる手触り感のある仕事がしたいと思うようになった。

 ちょうどその時、そのNPOが岡山にも事務所を作ることとなり、一から事業を立ち上げたいという想いのもと、岡山に移住した。岡山での仕事は自治体向けの再生可能エネルギー導入をサポートするコンサルティングで、主な業務は報告書をまとめること。これでは東京の時とあまり変わらず、自分で何かを作っている実感がなかった。しかし、自分がしたいことをどうやったら形にできるか分からなかった。そんな時、美作の棚田や過疎地域で働く人を見て刺激を受け、美作市の地域おこし協力隊に応募した。

 初めは草刈り中心だったが、「自分で何かを作り上げる、手で触れて実感できる仕事」にやりがいを感じた。任期後、村楽エナジーを立ち上げ、2015年には廃業していた「あわくら温泉元湯」をリノベーションして再始動させた。井筒さんにとって起業は単なる手段でしかない。自分がやりたいことと、それができる環境がマッチしていたのが起業であり、もっと他にもいい方法がなかったか考えることもあるそうだ。

 現在、村楽エナジー社長のほかに2人の子どもの父という肩書を持つ井筒さん。社長という立場で社員と関わるのは大変なもので、社員は家族のような存在になっている。しかし、そうなってくると仕事と家庭を分けにくくなってしまい、家族のためにも住まいを神戸に移し、当面はコンサルティングや営業を関西方面で行い、元湯や薪工場のオペレーションは社員と地域のリタイア世代の方に任せる方針という。

 新しいステージへと進む井筒さん。生活と仕事、そして自身の目標達成を両立させるために、今後も走り続ける。

 学生のコメント 村楽エナジーを取材したのは、県北の企業に目を向けたかったのと、岡山大学が真庭市と提携していることからバイオマスのパイオニアである井筒さんに興味を持ったのがきっかけ。取材を通して、起業は目的を達成するための手段の1つであり、必ずしもゴールではないということが分かったし、起業というものを身近に感じることもできた。実際に企業を訪れ経営者の話を聞くことで勉強になることも多く、今後も積極的に“現場”を訪れたい。

本誌:2017年12.11・18合併号 9ページ

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