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お正月事情

 「一年は正月に 一生は今に在り」 正岡子規

 松山市のホームページに正岡子規の俳句がまとめられている。季語が「お正月」の句は18ある。その中で筆者が一番好きなものがこの句である。子規晩年の病に侵された頃の句である。お正月は恐らく一年で一番自分の年齢を感じ、来し方を振り返り心のみそぎをして、新年が希望に満ちたよい年であるよう神に祈る日である。恐らく子規は人の浅ましい祈りへの自戒の念を込めて詠んだのであろう。お正月はある意味、躁と鬱が一緒に訪れる時期かもしれない。特に子育てを済ませたエンプティー・ネスターの世代にとっては尚更この句は重く響く。今回は岡山のお正月事情を取り上げてみたい。

 岡山の人はおせち料理を食べないという人が4人に1人の割合でいる。全国的には14%なので6人に1人くらいがおせちを食べない。何故岡山は多いのだろうか。実際におせちを手作りする人は一部も含めて岡山は27.4%いて、全国平均の25.9%より高い。全部購入する比率も岡山は全国平均より低い。つまり、岡山はおせちを食べる人はかなり少ないが、実際に手作りあるいは一部手作りの比率が高い。おせち料理を食べない人も多い反面、おせち料理を大切にしている人がいることが窺える。おせち料理の内容では岡山も全国も黒豆、栗きんとん、数の子の順であるが、岡山では焼き魚を好む人が多く、全国では伊達巻を好む方が多い。

 お雑煮に外せない具材では岡山ではかまぼこと小松菜やほうれん草が上位に来るが、全国では鶏肉とみつばがトップである。お雑煮はかなり地域性が残っているということなのであろう。筆者の生まれ育った県北の家庭ではお雑煮はするめが使用されていた。筆者の家が貧しいのでするめを使用するのかと思ったら、どうも美作一体ではお魚が冬の時期に入手が困難なのでするめが一般的に使用されているようである。岡山など県南はブリが一般的である。

 おせち料理に飽きたら食べるものは何かという問いについては全国ではラーメンとカレーライスがトップに来るが、岡山では寿司・刺身とラーメンがトップである。岡山は魚文化圏なのであろう。お正月の過ごし方では、テレビを見る、年賀状を確認する(書く)、初詣に行く、実家や親戚の家に行くと言うのが多いようである。岡山と全国でそれほどの差はないようである。

 一番の驚きは初詣のお賽銭の金額である。高額の金額を入れられる方は想像以上に少ないが、岡山では5円の人が35.1%でトップであるのに対して、全国では100円が30.5%と一番多い。この違いをどのように解釈すべきなのであろうか。神頼みをしない現実派が岡山には多いということなのであろうか。あるいは5円は「ご縁」につながり、それを固く信じている人が多いということなのであろうか。

本誌:2017年12.11・18合併号 13ページ

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