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イタリアへの旅(3)

 旅行の楽しみは名所旧跡を見て回ることだけではありません。そこで暮らす人々とのふれあいこそ旅の真の喜びです。日本に大挙して押し寄せてくる外国人観光客も都会や田舎で出会った日本人についてネットで熱く語っています(悪口は皆無)。

 ローマ観光初日のランチは同行のK君とホテル近くのレストランで。「本日のメーンはラムのカツレツ」と店の表にメニューが掲げてありました。料理の注文に際して「外のメニュー」と言うべきところを間違って「花のメニュー」と店主に言ったらしく店主はfuori(外)fiore(花)の違いを花瓶の花を指しながら指導してくれました。こんなところでイタリア語のレッスンを受けるとは!

 隣のテーブルに座った若いカップルが小声で楽しそうにしゃべっています。彼らの言葉は今まで聞いたことのない言葉、どこの国の人だろう? 私は思い切って聞いてみました。変なおっさんのぶしつけな問いにもにこやかにいろいろ自己紹介してくれました。イラン人でした。

 彼らは今はトルコのイスタンブールに住んでいて、若いご主人は会社員、黒髪が美しい若いマダムは建築学のドクターコースで勉強中とのことです。「次の旅行はぜひイランとトルコへいらして下さい」と薦められ、ご主人は名刺までくれました。私は若いころよくこんな感じでふと知り合いになった人を実際に翌年訪ねて何人もの人と生涯の友人になったものです。イスタンブール、いつかきっと旅したい街です。

 4連泊した安ホテルの受付のおじさんは私が日本人だと分かると、「葉隠」(はがくれ)を読んだ、感動した、と話かけてきました。「葉隠」は私の愛読書でもあり、おじさんはどんどん饒舌になります。しかし私のイタリア語では深い内容にまで立ち入ることはできません。残念。もっと話したかったのですが。

 旅の最後の日の昼食はK君とちょっと高級なレストランに入りました。でも店は家族経営みたいでとてもフレンドリー。息子とおぼしき青年がサービスしてくれます。とても若いので「高校生ですか?」と尋ねたら「明後日は私の23回目の誕生日です」と笑いながら「日本にぜひ行きたい」と言っていました。生ハムもピザも絶品! 年を取り、旅に出て、そこで出会った人々とするたわいもない話。これって全然悪くないです!(続く)

本誌:2017年12.11・18合併号 17ページ

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