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年末回顧2017年岡山県下10大ニュース

設備投資増え景気回復感 人手不足はさらに深刻

  • 岡山土地倉庫、本社南側に大型倉庫建設中

 2017年の岡山経済を振り返ると、景気回復に力強さが出てきた1年となった。企業誘致が順調に進み工場、物流施設の建設が相次いだほか、機械設備などの投資も活発化した。岡山市内の再開発構想は業者が決まり一歩前進。株式市場の活況による資産効果から消費も堅調だったよう。一方、人手不足はかつてないほど深刻化したほか、県内でも過疎化で都市部と郡部との地域格差がさらに広がってきている。


人手不足深刻化①
ひっ迫感はかつてない水準
受注を見送るケースが続出

 少子高齢化で労働人口が減少し、人手不足の深刻さがさらに増してきた。岡山県下の有効求人倍率は6月1.80倍、7月1.82倍、8月1.79倍。バブル期を超え全国的にみても高水準で推移し、ひっ迫した状態は続いている。その影響はほぼ全業種に及んでいる。

 特に、岡山県では物流施設、工場などの企業誘致が順調に進んだほか、今夏以降水島コンビナートを中心に製造業の操業度が高まっていることも、人手不足に拍車をかけている。そのため、外国人を採用する動きが繊維など業界以外の製造業やサービス業などにも広がってきた。

 こうした状況の中で、需要はあっても人手不足により受注を見送るケースも増え、企業の売上高の面ではブレーキがかかっている。今後の景気動向にマイナスの影響も懸念される。

設備投資②
工場など企業立地が相次ぐ
機械の更新や増設も活発化

 企業の設備投資が活発化した1年だった。県など自治体の働きかけで企業誘致が相次ぎ実現。JA西日本くみあい飼料などの食品コンビナートが玉島ハーバーアイランドで稼働した。活況を呈する電子部品や自動車などでも工場の新築・増築の動きが活発化した。物流施設も新設ラッシュとなった。大手荷主企業が物流の効率化を狙い国内の物流拠点網を見直す中で、交通の利便性などから岡山県を選定したため。拠点整備は全国大手だけでなく、地元運送会社も相次ぎ倉庫を整備した。

 また、機械設備の投資も勢いづいた。老朽化した設備の更新、人手不足対策による省力化投資のほか、景気回復による増産対応などによるもの。中小企業等経営強化法による税制優遇など国の支援措置も、地元の中小企業の設備導入を後押しした。


再開発ラッシュ③
担当業者が決まり一歩前進
駅前はJR系ホテルなどに

 岡山市内で進められている再開発事業で、業者が決まり一歩前進した。岡山市北区駅前町のえきまえミヨシノ跡、映画館岡山メルパなどの区域(約1万㎡)を対象にした市街地再開発準備組合は、開発業者を野村不動産㈱(東京都)、JR西日本不動産開発㈱(兵庫県)、㈱奥村組(大阪市)の共同企業体に決定した。JR系列のホテル、高級マンションを核施設として整備する。

 同区天神町にある岡山後楽館中学・高校跡地で、岡山市は優先交渉権者に山陽放送㈱(岡山市)を選定した。北長瀬の岡山操車場跡地の民間活用区域(約3ha)では、市は大和リース㈱(大阪市)を優先交渉権者に選んだ。

 新市民会館計画では、市は7月から有識者を集め懇談会を開催。4回開き新会館の運営方法などを検討するもので、年度内に運営基本計画を策定する。

 これらのうち多くの地権者が絡む開発案件では、未同意の地権者がおり、今後全員合意に向けての交渉が課題となる。

マイナス金利・株高④
利ザヤ縮小で競争激化に拍車
株価はバブル崩壊後最高値に

 日本銀行が昨年1月に導入したマイナス金利政策が継続となり、岡山県下の金融機関を取り巻く経営環境も厳しさを増している。有価証券などの運用難で、貸出金拡大の競争が激化し金利低下に拍車がかかった。9月には預金金利を引き下げたが、利ザヤは縮小する一方だ。投資銀行業務、コンサルティング機能の強化などサービスの高付加価値化に活路を見出している。

 その中で、県下でも10数年ぶりに再編の動きもあった。11月に信用組合岡山商銀(岡山市)が、横浜幸銀信用組合(横浜市)と合併した。

 金利低下の一方で、株式相場は活況を呈した。9月に日経平均が2万円を突破、11月に2万3000円台の値を付けバブル崩壊後の最高値を記録した。好市況による資産効果からか、消費でも高額品が売れた。


選挙⑤
急きょ解散総選挙自民圧勝
岡山市長選大森雅夫氏再選

 北朝鮮情勢が緊迫の度を増す中、安倍晋三首相は10月の臨時国会冒頭で解散を断行し、3年ぶりの衆院総選挙が行われた。森友学園・加計学園問題などで内閣支持率が低下し、都議選での圧勝を受け小池百合子東京都知事が希望の党を立ち上げ、当初は政権交代の可能性もささやかれたが、結果は与党が圧勝。

 岡山県下5つの小選挙区は自民党が全勝(追加公認を含む)。希望の前職2人と立憲民主の前職が比例復活で議席を得た。与党が再び3分の2以上の議席を占め、今後は憲法改正の行方が政治の最大の関心事になる。

 また、10月の岡山市長選は、自民公明の国政与党に民進も相乗りし、現職の大森雅夫氏が危なげなく再選を決めた。全国ワースト2位の待機児童問題で650人の受け皿を増加したことや、中心市街地の活性化の実績が支持された。

IoT関心高まる⑥
実証実験や勉強会が活発化
地元中小企業へ徐々に普及

 スマホやパソコン以外にさまざまな物に通信機能を持たせインターネットに接続する「IoT」への関心が地元企業の間でも大いに高まった。

 (一社)システムエンジニアリング岡山(SEO)、おかやまIoTコンソーシアムなど産学官連携2団体は、中小企業への普及に向け実証実験、勉強会などの調査研究を本格化させた。

 IoTで効率化や競争力を高めようと、地元での導入事例も増えてきた。㈱英田エンジニアリング(美作市)ではコインパーキングの駐車状況確認に導入。野球選手育成ベンチャーの(同)ヒーローズ(岡山市)ではトレーニング中の筋肉の動きをIoT機器で測定しデータ化し指導に活用。SEOなどから評価され10月におかやま経営力大賞を受賞した。

持ち株会社制移行⑦
中堅企業にもすそ野が拡大
グループの結束力を強化へ

 地元企業で持ち株会社制導入の動きが相次いだ。1月に紳士服製造販売のはるやま商事㈱(岡山市)、4月に医療用品製造のダイヤ工業㈱(同)、7月に農機具製造の小橋工業㈱(同)、8月に機械プラント設計の瀬戸内エンジニアリング㈱(倉敷市)で導入した。食品スーパーの㈱マルイ(津山市)も年度内に持ち株会社を設立する予定。

 経営環境が激変する中で、グループ全体の経営の効率化、意思決定の迅速化、グループ各社の連携強化による商品力、営業力などの向上などが狙い。

 また、今までは地元でも上場企業、大手企業のグループを中心に導入が進んだが、中堅企業にもすそ野が広がってきた。


働き方改革⑧
ログ記録で残業時間を抑制
行政はセミナー開催で啓発

 労働人口減少の中で国が推奨する「働き方改革」への取り組みが、地元企業の間でも加速している。

 9月に子育てサポート企業「プラチナくるみん」の認定を受けた㈱トマト銀行(岡山市)では、パソコンログ記録で退社時間の管理を徹底させているほか、各店舗の時間外労働削減の実績を業績評価に反映させたことが、評価された。また、㈱石井事務機センター(岡山市)では残業抑制にPC管理ツールを発売。事務用品の業者がビジネスの好機ととらえ、これらの関連商品を拡充したこともあり、企業側の残業抑制への動きは急速に広がった。流通ではセルフレジ導入など業務の機械化を進め対応している。

 行政、経済団体などでは、企業向けに啓発のためのセミナーを積極的に実施、成功事例を紹介し取り組みを促している。


日本遺産⑨
6市5件の申請ラッシュへ
五輪に向けて観光振興期待

 県下の自治体で観光振興に生かそうと「日本遺産」への関心が高まり、今年は岡山市、倉敷市など6市から5件の認定申請が文化庁に出された。このうち4月に認定を受けたのが、倉敷市の「繊維のまち」、備前市などの「やきもの産地」の2件。2015年認定分の備前市の「教育遺産」と合わせ県内は3件となった。

 また、笠岡市は香川県小豆島町と連携し、「瀬戸内海の石」をテーマに来年2月の共同申請に向けて準備を進めている。

 日本遺産は地域に点在する文化財をストーリーで結び付け情報発信する制度。東京五輪の20年までに全国で100件程度の認定を目指しており、今まで3回の認定で54件となった。

岡山ゆかりの映画続々⑩
ロケ地巡りを支援し誘客へ
倉敷市はPR4000万円投入

 岡山県下でロケを行った映画や舞台にした映画の公開が相次ぎ、関連する地元の自治体ではその宣伝効果を観光振興につなげようとする動きが広がった。

 倉敷市では下津井を舞台にしたアニメ映画「ひるね姫」のPRで4000万円近い予算を投入。JRや下津井電鉄㈱(倉敷市)と提携し3月から宣伝用のラッピング電車・バスの運行を開始したほか、映画の舞台となった「聖地」巡りのスタンプラリーも実施した。地元の業者では関連のキャラクターグッズなども製造しPRした。赤磐市では、映画「種まく旅人」で3月にロケ地巡りツアーを実施。瀬戸内市では、映画「君と100回目の恋」で地元の観光センターでパネル展を行った。

本誌:2017年12.11・18合併号 4ページ

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