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ジャーナル西江家

18代当主が「江戸期ベンガラ」復活 “初染め”で魅力を再確認

  • 初染めの出来をチェックする山崎氏と西江氏

 国登録有形文化財「西江邸」(高梁市成羽町坂本1604)の18代当主・西江晃治氏が、九州大学の研究グループや有田焼の窯元と共同で復活させた「江戸期ベンガラ」を使った初の染色作業が10月31日行われ、「赤の中の赤」と呼ばれた吹屋ベンガラの独特の深みのある色合いがよみがえった。

 植物の葉などに含まれる色素を抽出して糸や布を染める「草木染」研究で知られ、吹屋産ベンガラを使った「紅柄染」を開発した山崎和樹氏が、准教授を務める東北芸術工科大学の学生らと西江邸を訪問。初染めを行い「昔に近い製造方法によるベンガラだけに市販されているもののような毒々しい赤とは違う深みがあり、商品化の可能性は十分あるのではないか」と高く評価した。

 このベンガラは、西江家の蔵に残されていたローハ(ベンガラの原料)を使い、電気炉で特殊加工する方法で3年がかりで開発した。年内をめどに西江家近くに工房を設け来春の商品化を目指しており、どのような色にも対応できるが、ベンガラ本来の赤のほかピンク、黄、緑、青など20色に絞り販売する計画。ガラスや磁器、画材などの需要を見込んでおり、西江氏は「伝統工芸の分野に限らず、化粧品など幅広い用途を探り、地域産業として復活させたい」と話している。

 西江家が宝暦年間(1751年~)から製造を手掛けたベンガラ(本山紅柄)は、持ち山から採掘される磁硫化鉄鉱に含まれる不純物が独特の色合いを生み出し、高品質の絵付け顔料として使われた。ピーク時には国内で生産されるベンガラの90%以上が吹屋産という隆盛を築いたが、戦後、鉄鉱石から安価に大量生産する技術が確立されると急速に衰退、西江家も工場火災に見舞われベンガラ生産から手を引いていた。

 西江氏はベンガラを化学的に再現する研究なども取り組んできたが、2008年には国登録有形文化財のまま住居を移し、㈱西江邸を設立して「活きた文化財」として保存活用を進め、昔のベンガラ産業の再興に取り組んでいる。

本誌:2010年11.15号 8ページ
関連リンク:西江邸

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