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巻頭特集ビジネスシーンで活躍の場広がる「iPad」

キーワードは[大型モニター][タッチパネル][無線通信]

  • 大型モニターが威力を発揮

 今年5月から国内販売が開始され、品切れが続くなど注目を集めているアップル社の多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」。発売から約半年が経過し、一般販売はやや落ち着いた感が見られるが、ビジネス用途での購入数が増加してきている。電子カタログとしてだけでなく、通信機能を生かしたペーパーレス化やタッチパネル対応大型モニターを生かした操作パネルとしての利用など活躍の幅が広がってきた。県内の活用事例とシステム開発会社が提案する利用方法、今後の展開などをリポートした。


複合型営業補助ツールとして活用
アイム・コラボレーション

 電子カタログにとどまらず、さまざまな機能を組み込んだ営業補助システムを導入したのが、自由設計住宅の㈱アイム・コラボレーション(岡山市北区今2-16-35、石橋雅則社長、資本金3000万円)。石橋社長は「自由設計は、1件でも多くの参考事例を見てもらうことが重要。アイパッド1台で今まで建てた家の情報すべてを見てもらえるようになった」と話す。
 
 同システムには、同社が手掛けてきた住宅700プランや、内観、外観写真など1000点を登録。間取り、予算などに応じたプランを検索表示できるほか、ローンシミュレーションにも対応し、月額いくらの支払いで購入できるかを即座に表示できる。

 導入のきっかけは、6月に受けた火災保険代理店のアイパッドを使ったプレゼンテーション。分かりやすさとインパクトから社内で活用できないかと広告代理店の㈱ビズ・クリエイション(同区佐山2511-4、初谷昌彦社長、資本金300万円)に相談し今回の企画を立ち上げた。

 店頭で営業担当者が活用するだけでなく、顧客がアイパッドやアイフォーンにアプリを入れることも可能で、自宅でじっくりシミュレーションしてもらうことも想定。「顧客満足度の向上が第一。理想の住まいづくりを支援できる」(石橋社長)と期待し、県外パートナー店を含み年明けからの本格稼動を予定している。

ペーパーレス化で経費削減
ソブリングループ

 アイパッドを活用したペーパーレス化により、経費削減と効率改善につなげている例もある。OA機器など販売の㈱ソブリングループ(同区駅前町1-8-1、縣将貴社長、資本金9000万円)では、広島、鳥取、山口など県外拠点との会議時にTV会議システムと合わせて使用。従来、事前に会議資料をメール送信し、印刷、ホッチキス止めして参加者に配布していたが、アイパッドで資料を共有し手元で確認しながら会議を行っている。

「TVモニターに資料を表示することはできるが、手元で自由に見られる方が勝手と効率が良い。サーバーに入っている元データを変更すれば、手元のファイルにも反映できるので伝達ミスも少ない」と縣社長。印刷する場合と比べ紙代だけでも月間12万円程度の削減に成功。人件費を考えるとそれ以上の成果が出ているという。

 現在20台程度のアイパッドを社内に導入しているが、11月からアイパッドの販売権を得たこともあり外勤営業担当者を中心に150~200台を配布して更なる業務効率の改善を図ると共に、企業への導入を提案していく計画向だ。


映像設備の操作パネルに採用
プローバ

 業務用映像・音響設備設計施工の㈱プローバ(同市南区米倉42-1、栗田真志社長、資本金1000万円)は、岡山県南部健康づくりセンターに設置した業務用プロジェクターの操作パネルにアイパッドを採用した。さまざまな人が利用する施設のため、「分かりやすさと使いやすさを考慮したときに、タッチパネル操作が最適と考案した」と同社。電源のオンオフ、ブルーレイ映像やパソコン画面との切り替え、音量調整などの操作が画面を触ることで自由に行える。

 専用のタッチパネルシステムを導入した場合と比べ、ほぼ半分のコストで導入でき、画面イメージなども自由に変更できるメリットがある。開発を請け負った㈱バーズコミュニケーション(同市北区野田3-1-18、原全伸社長、資本金1000万円)は、初めてアイパッド向けのシステム開発に着手。「パソコン向けのソフト開発と比べ細部の調整が大変だった。安価にタッチパネルを導入できるメリットは大きい」と話している。プローバでは、導入ノウハウを生かし、同センター以外にも広く提案していく予定。


関心高まるICT業界 アプリ開発が活性化

 (社)システムエンジニアリング岡山(SEO)が実施しているアイパッド、アイフォーン向けアプリの開発セミナーには、有料にもかかわらず毎回10社を上回るシステム開発会社が参加する。勉強会や公開セミナーにも多くのICT関連会社が参加するなど関心は高い。各社のアプリ開発も活発化してきている。

 オフィスシステムサービス㈱(同区下中野708-107、山本薫社長、資本金2000万円)は、アイパッドを飲食店のテーブルに設置し、顧客がタッチパネルで注文できるシステムを開発した。無線LANで厨房、レジと注文情報を連動させスムーズなオーダー処理を実現している。厨房にもアイパッドをモニターとして設置すれば、リアルタイムのオーダー状況を一目で確認可能。導入コストは、専用端末と比べ半額程度に抑えられる。現在は、㈱フレスカ(同市南区泉田28-5、石井進社長、資本金1000万円)運営の焼肉店「ぐりぐり家」で携帯端末「iPod touch(アイポッドタッチ)」を従業員が持ちオーダーをとる形式で運用を開始。今後は、アイパッドの導入も検討しているという。

 歯科向けシステムの東和ハイシステム㈱(同市北区野田3-12-33、石井滋久社長、資本金4000万円)では、診察時の歯周病や口腔内検査の結果をアイパッド上で簡単に入力できるシステムを開発。診療報酬明細書(レセプト)も画面で確認でき、ペーパーレス化を提案している。

 そのほか、県下のシステム開発会社では、グループウェアとの連動や、見積作成、商品管理、生産管理システムなどさまざまなアプリの開発が進んでいる。アプリ開発セミナーで講師を務める㈱CODE54(同市南区新保1611-1、資本金1000万円)の後藤誠社長は「アイパッドでプレゼンすれば受注率が上がるというデータもある。今後発売されるアイパッド以外のタブレット端末と合わせ活用の幅は更に広がるだろう」と見ている。


岡山県立大学情報工学部・情報システム工学科助教 芝 世弐氏

低コストが最大メリット
専用端末からの移行進む

 アイパッドやスマートフォンの勉強会などに参加し、パネリストなども勤める岡山県立大学情報工学部・情報システム工学科の芝世弐助教に、アイパッドの魅力やビジネス活用の今後の見通しなどを聞いた。

―アイパッドの魅力は。
 低価格が一番の魅力でしょう。タッチパネルを活用したシステム導入コストが、銀行のATMなどに使われる専用のタッチパネルなどと比べ、格段に下がった。今月末にはNTTドコモから新しいタブレット端末も発売される予定です。価格とスペックの競争が激化するだろう。
―ビジネス活用で留意するべき点は。
 今後、アンドロイドなどさまざまなOSを搭載したタブレット端末が発売される。OSに特化したシステムにするか、OSを選ばないウェブシステムで開発するか、活用方法に応じて選択しないといけない。
―今後の見通しは。
 アイパッドはあくまで1つの選択肢として考えるべきだろう。ある飲食店では、オーダーを取るのにソニーの携帯ゲーム機PSP(プレイステーションポータブル)のネットワーク接続機能を利用しているというのを聞いたことがある。やりたいことが実現できるOSや、操作しやすい画面など用途に応じてさまざまな端末から選択できる時代となった。専用端末からの切り替えが進むのは間違いなだろう。


[解説]アイパッド
 9.7 のタッチパネル対応液晶ディスプレイを搭載したモバイル端末。厚さ約1.3㎝、重さ680gと持ち運びに便利で、第3世代携帯電話回線や無線LANを利用してインターネットへ接続できるのが特徴。メール確認やブログ、ツイッターの更新のほか、ネットワーク上のストアで提供されているアプリケーションを自由に取り入れることで電子書籍、音楽プレイヤー、電子手帳、ゲームなどさまざまな用途で活用できる。

本誌:2010年11.15号 4ページ

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