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相手も自分も大切にするコミュニケーションとは?

 心理学を生かしたコミュニケーション研修を担当しておりますと、ゴールに必ず入れる必要があると感じる大切なキーワードがあります。それはさわやかな自己主張、アサーティブコミュニケーションです。

 皆さんには、こんな経験はありませんか?

 ◎ 人と違う意見や気持ちの時、自分の気持ちがなかなか伝えられない

 ◎ 自分の都合があるのに、突然の残業の依頼を断れない

 ◎ 商品を間違えられても断ることができない(ホットコーヒー→アイス)

 ◎ 自分より偉い人には、言いたいことが言えない(医者の診察時間が短い)

 ◎ あなたは(子供・部下・新人)なんだからとにかく言う通りすれば良い

 ◎ 列に割り込む人は許せないので、きっぱり注意する

 ◎ 自分の信念はなんと言われても変えない

 一つでも当てはまるなら、アサーティブコミュニケーションのトレーニングが必要な方かもしれません。

 自己主張には3つのタイプがあります。

 ◆攻撃的(アグレッシブ) 自分のことだけ考えて、他者を踏みにじるやり方です。「私はOK、あなたはOKでない」というスタンスからのコミュニケーションです。なんであなたはそんなことするのよ!と責めるような口調になり、私は正しい、あなたが間違っていると、自分の価値観を押し付けてしまいます。

 ◆非主張的(ノン・アサーティブ)  常に他者を優先して、自分のことを後回しにするやり方です。「私はOKでない、あなたはOK」というスタンスからのコミュニケーションです。言いたいことや自分の都合があっても、伝えることができません。一見控えめ、とも言えるかもしれませんが、言わないことを自分の責任で選んでいる訳ではないので、どこかに恨みがましい気持ちが残ります。こんなに、気を使い、譲っているのに、周囲は分かってくれない、と思いがちです。伝えていないのに、分かってほしいと思い、分かってくれない周囲を逆恨みしてしまう傾向もあります。

 ◆アサーティブ 自分のことを大切にし、他者をも配慮するやり方。「私もOK、あなたもOK」というスタンスからのコミュニケーションです。

 例えば、前述の「自分の都合があるのに、突然の残業の依頼を断れない」を例にとってみましょう。まず、自分には終業後に予定がある、これもOKなら、その事情を知らず残業を依頼してきた上司もOKです。私に仕事を依頼してくれたことに感謝し、指示を受けたい気持ちはあるのだが、大事な予定があり、今日は受けることが難しいということを伝えます。さらに、対応策を一緒に考えたいという姿勢をとります。

 明日の朝早く出勤するのではどうだろう?私から同僚の◯◯さんに頼んでみるのはどうだろう?と、私の主張と相手の主張の重なり合うところを探していくのです。人は誰でも、その人独自の「主観」の中に生きています。同じ景色を見ていても感じる想いが異なり、同じ言葉を耳にしても、頭の中で描く映像は異なります。受け止め方は人それぞれ、違っていて当たり前、というスタンスからのコミュニケーションが必要です。違っているからといって、良い悪い、正しい間違っている、という判断は手放しましょう。だからこそ、丁寧に思いを言葉に乗せて伝え合う必要があるのです。

 私がアサーティブを学んだとき、アサーティブの大家である先生より教わった言葉で、とても大好きで大切にしている言葉があります。それは「違いは、間違いではない」というものです。身近な存在になればなるほど同じであってほしいし、分かってほしいと思います。分かってくれていて当然という甘えも生まれます。だからこそ、身近な人にこそ丁寧に伝える努力を怠らないように心掛けたいものです。

本誌:2016年7.11号 21ページ

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