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巻頭特集快走する生鮮スーパー「エブリイ」

14カ月連続既存店で前年実績クリア 「超鮮度」「専門店化」で充実した商品が強み

  • 売り場の専門店化を進めるエブリイ(連島店内の精肉専門店)

 広島、岡山県下で生鮮スーパーを展開する㈱エブリイ(福山市)。「超鮮度」「専門店化」「独自固有化」の3つの戦略を柱に、既存店実績は14カ月連続で前年実績を上回った。2015年6月期上半期は既存店実績で前年同期比11.2%増。消費増税後売り上げ確保に苦しむ競合店とは対照的に高い伸び率を見せた。福山市、岡山県南部でイオン、セブン&アイHDの流通2大グループが勢力を拡大する中、独自路線で売り上げを伸ばすエブリイの好調な要因をリポートする。

≪2015年6月期上半期業績≫
既存店見込み上回る2ケタ増 「連島店」は年20億円ペース

 ㈱エブリイは1月19日、2015年6月期上半期(14年7~12月)の業績をまとめた。売上高は294億7900万円(前年同期比25.8%増)。好調な要因は、既存店売り上げが240億9200万円で同11.2%伸びたこと。消費増税後逆風にさらされると思われたが節約志向の強い消費者を取り込み、各月でも昨年11月まで2ケタ増収を続けた。岡崎雅廣社長も「既存店がこれだけ伸びるとは思ってもいなかった」と言う。

 期中、倉敷市内に連島店(昨年7月)や広島県下で海田店(同10月)など5店を出店したこともプラス要因となった。連島、海田の両店は新たな売り場を導入したこともあり、年商20億円を上回るペースで推移。同社店舗は認知度が高まるにつれ2年後まで毎年2ケタ成長する傾向があるため、両店とも将来の中核店として期待している。

≪他社と違う戦略≫
スピード追求した鮮度強み 専門店化で売り場に特色

 最大の特徴は、戦略として掲げる「超鮮度」「専門店化」に基づく商品群。超鮮度商品は今できる最大限のスピードで提供しているもので、中部地方など全国18カ所の契約農場から24時間以内に店舗に直送される「ラブベジ」や、当日さばいた鶏肉を昼過ぎに販売する「吉備高原鶏」、朝水揚げされた鮮魚を開店直後に販売する「境港朝揚げ鮮魚」など、生鮮3品にそれぞれ“目玉”商品を設け集客力を高めている。

 専門店化では、一頭買いした和牛をさばいて販売する肉の専門店「肉匠たなか本舗」やスイーツ専門店「パティシエ スイーツ」、ぬくぬくのお好み焼を販売する「出来た亭」などを展開。パティシエスイーツを導入した海田店では、自家製シュークリームを1日1000個も販売するなど好調な売れ行きを見せる。専門店は出店、改装に合わせて導入するほか、新たなジャンルも順次開発。焼き鳥やおにぎりの専門店も候補になっている。

 こうした超鮮度、専門店化は独自の配送体制、人材育成によるもので、同社では「一朝一夕ではできない」としている。また、地域性に合わせた生鮮品を扱うために、店舗ごとで仕入れできる体制をとる。昼食時に合わせて出来立て弁当を提供するため開店直後や、ロスを抑えるための早い時間帯での“売り切れ御免”など、他社では考えにくい指導を徹底。ご飯が冷めた弁当は値引きするなど、味に対し徹底したこだわりを見せている。

 超鮮度、専門店化による商品面での独自化と、味へのこだわりで大手にも負けない売り場をつくり上げている。

≪今後の展望と出店戦略≫
グループ1000億円へ出店加速 200坪級の都市型モデル開発も

 エブリイは1989年4月に創業し、店舗数は直営30店、FC17店を展開(業務スーパー含む)。そのうち岡山県下では直営9店。

 同社は、夕食材料宅配の㈱ヨシケイ福山など8社でグループを構成、昨年9月から持ち株会社制を導入しており、㈱エブリイホーミイホールディングス(福山市)の子会社となった。グループ売上高は536億円(14年6月期)で、20年6月期に年商1000億円を目指す。その中核を担うエブリイでは、同期まで年間4~5店の出店を継続し60店体制を目指す。福山市内で約10店に達しほぼ体制が固まったことから、今後は岡山県下での出店に本腰を入れるものとみられる。

 同社では「高梁や総社も有望な市場」と話しており、県南に限らず出店していく姿勢を見せる。また、同社の平均的な生鮮スーパーの規模は店舗面積300~400坪だが、人口が増えている岡山市中心部への出店を考慮し200坪級のモデル開発を視野に入れる。

 並行して、県下では2000年代前半から営業している店舗もあり、てこ入れとして老朽店舗の周辺で出店も進めていく。比較的新しい店舗でも、売り場面積1000㎡に満たない岡南築港店(岡山市南区)は、年商25億円規模となり1坪当たりの売上高は800万円(同社平均600万円強)を超える優良店ゆえに、130台収容の駐車場は昼間満車に近い状況が続く。そのため「今以上売り上げが伸びれば想定していない時間帯に欠品が出かねない状況。駐車場も含め迷惑をかけてしまう」とし、商圏が部分的に重なる地域に出店することで意図的に顧客を分散させる意向だ。

出店面では課題残る

 岡山県南部、福山市は全国大手、地元勢が入り乱れ、スーパーが林立する全国有数の激戦地。資金力豊富なイオングループなどとの陣取り合戦では後手を踏むケースが多いという。地盤の福山商圏では地主から出店を要請されるケースもあるが、岡山では出店に向けた陣取り合戦で苦戦の様相がうかがえる。

 県下直営9店のうち主力の生鮮スーパーは7店で、いずれも倉敷市と岡山市南区に立地するため、それ以外の地域では知名度は低い上、県南部は「めぼしい地域はスーパーが出尽くした」とし地元勢でも新規出店に苦慮している。次世代スーパーづくりへ特徴を明確に打ち出す商品面の充実ぶりが目立つ一方で、成長に欠かせない出店用地確保には課題が残る。

本誌:2015年2.16号 4ページ

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