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代表質問真庭市長 太田 昇氏

発電所開設し循環社会に手応え 地域資源生かし住民が輝く市に

目をスタートした真庭市の太田昇市長。県下自治体中、最大の広さを誇る同市は8割を山林が占め、木質バイオマスや湯原温泉、蒜山高原などの豊富な観光資源を生かした中山間地域活性化に取り組んでいる。市政の現状と今後の戦略を聞いた。

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―1期目を振り返って。

 自治体は“市民の幸せづくりを応援する総合的な条件整備会社”と認識しており、市民がこういう人生を送りたいと思えるものを整備するのが役割と考え市政を推進してきた。産業面の弱さを補うために、前市長が進めてきたバイオマス発電所の稼働に全力で取り組み、主要産業の林業、製材業者の力を借りて、域内で木質燃料を循環させることで地域経済の強化につなげることができた。

 銘建工業㈱(真庭市)が昨年4月に稼働した国内初のCLT(直交集成板)専用工場は、東日本大震災の復興住宅への供給などで利用の弾みが付き生産が上向いてきた。CLTの原料は100%国産材でそのうち60%を真庭産が占めており、さらなる比率アップを進めたい。市内でも、民間ホテルや久世駅のトイレ・休憩所、2018年4月に開校する北房小学校・北房こども園、中央図書館のリノベーションなど積極的にCLTを活用している。

 企業誘致では、真庭産業団地への県外企業の進出が予想以上に順調に進んでいる。就任時に18区画空いていたが、北エリアはすべて埋まり、残る南エリアの5区画にも引き合いがある状況だ。進出企業や既存企業の工場拡張などで雇用が増え、有効求人倍率は美作圏域全体の1.3倍に対し真庭市は1.5倍となっている。2014工業統計の製造品出荷額が12年の950億円から14年は7.6%増の1030億円になり、現金給与総額も11%伸びるなど地域活性化に一定の手応えをつかんでいる。

―循環型地域経済づくりの進ちょくは。

 製材後に出てくる端材でチップを作りバイオマス発電所などの燃料にする流れができてきた。他県の発電所では燃料の調達が伴わず赤字経営となっているところが多いが、真庭では間伐材や木の根っこなどをむだなく活用する仕組みがあるほか、市民が庭木を市内各地にあるチップ工場に持ち込んで燃料化するなど木材に関する原料調達、生産管理、物流、販売までのサプライチェーンができているのが強みだ。

 市役所に導入しているバイオマスボイラーを北房小学校・こども園、新図書館、総合庁舎にも導入する計画で、木材資源の域内循環をさらに進めていきたい。

―課題は。

 近年、年間600人ずつ減っているなど止まらない人口減少対策が課題だ。待機児童ゼロ、安価な保育料、不妊治療支援など子育て環境を整え、出生率は1.83人と高水準だが、高齢化が進んでいるため自然減は防ぎようがない。市から出ていく人を減らして入る人を増やす社会増を目指したい。

 そのために、4月には企業人材の研修やインターンシップの宿泊料、交通費を負担するなど人材を育てる事業として10億円の「未来を担う人応援基金」を立ち上げた。また、昨年からUターン、Iターンを促進しようと全国から公募し、中和地区で昔の暮らしを学びながら新しいなりわいの形を創造する「真庭なりわい塾」をスタートした。初年は25人が参加し、そのうちの何人かは真庭に移住してくれている。就労環境の整備と魅力ある地域づくりに努め、人口減少に歯止めをかけたい。

―2期目の抱負。

 中山間地域を取り巻く環境は厳しいが、嘆くのではなく、自主自立の気概と知恵を持って地域が立ち上がれば地方創生、地域活性化を進化させることができると確信している。第2次真庭市総合計画などで掲げた地域資源を生かし、すべての人が存在感を持って輝く「真庭ライフスタイル」の実現を目指し、農業・林業の再生、地域資源を生かした循環型社会、共生する地域形成、子育てと豊かな文化構築などの取り組みを加速させたい。

 裾野が広く重要産業に位置付けている観光面では、(一社)真庭観光連盟や各観光協会などが官民の幅広い連携により地域観光を積極的に推進する法人組織「DMO」立ち上げに向けた協議をスタートした。湯原温泉、蒜山高原、勝山の町並み保存地区など豊富な地域資源を生かし、純粋な観光以外にも視察などの産業観光も含め活性化を図る考えだ。

おおた・のぼる 久世町(現・真庭市)出身。県立津山高校を経て、1975年京都大学法学部を卒業し京都府庁に入庁。2010年副知事就任。13年4月市長就任。65歳。

本誌:2017年夏季特別号 7ページ
関連リンク:真庭市

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