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巻頭特集話題になったもの勝ち!人気映画にあやかれ

岡山ゆかりの映画続々 ヒット期待し盛り上がる県下自治体

  • 下津井地区でスタンプラリーを実施

 大ヒットアニメ映画「君の名は。」に続けと、岡山県内でも映画をきっかけに知名度アップや誘客に努める動きが広がっている。県内では、前年度(2016年4月~17年3月)に映画5作品のロケが行われ「当たり年」となった上、全国的に人気の高い俳優・女優が出演する注目作品がそろった印象だ。3月18日に全国上映開始となったアニメ映画「ひるね姫」では、倉敷市などが多額を投じ公開前からPR戦略を展開した。映画などのロケを観光に結び付けるタイアップ企画では先行投資が必要なだけに、投資に見合う効果を判断する力が求められている。

 前年度は、県内でロケーション撮影を実施した映画が5作品あり過去十年で最多となったほか、岡山を舞台・ロケ地にした映画も3作品が公開された。その中から、全国上映された映画3作品に関する地元企業、行政の動向を中心にまとめた。

倉敷市・「ひるね姫」
下津井舞台でPR効果に期待 東京都劇場でCM放映し誘客
 
 倉敷市下津井を舞台にした映画ひるね姫が地元を中心に盛り上がりを見せている。倉敷市が年度をまたぎ5000万円近いPR費を計上し、ひるね姫仕様にラッピングしたバスや電車で話題づくりしたほか、地元企業も自社の事業に合わせたオリジナルグッズを開発し広がりを見せている。

 市は昨年9月、補正予算で映画のPRや観光促進費を計上。東京都内の17映画館で、ひるね姫上映前に市をPRする15秒CMを放映中のほか、映画に登場する風景を紹介した下津井地区などのPR用チラシを配布し、首都圏をターゲットに誘客を図る。

 地元では3月1日から、ラッピングバス・列車を運行。児島地区を中心にしたスタンプラリーも同日~6月30日に展開。映画で登場する風景(5カ所)の路上に目印を置き、映画の舞台となった「聖地」巡りをサポートする。アニメで実績を残す神山健治監督の作品とあって、上映前の3月11日までに200件を上回る応募が集まった。県も、玄関口のJR児島駅の改札床面に映画のイラスト告知を設置し観光客ら向けにアピールする。

 同作品は声優陣が岡山弁で話しており、作品中に瀬戸大橋、瀬戸内海の絶景が登場する。市観光課では「倉敷が前面に出ている数少ない作品で、チャンスと捉らえPRしたい」と積極的。新年度が始まる4月以降も1000万円のPR費を組み、今度は市中心部など児島地区以外のエリアを周遊するスタンプラリーを行う予定だ。

 市の働き掛けもあり、高田織物㈱が登場キャラクターを描いた畳縁の小物入れを発売。㈱明石スクールユニフォームカンパニーが、主人公の高校の制服を再現し映画のPR用として提供している。また、下津井地区の鷲羽ハイランドホテルが5月7日まで、全国ロードショー記念として電動レンタサイクル付き宿泊プランを販売している。地元のジーンズメーカーも個別にキャラクターグッズなどを作製。官民挙げたPRに広がっている。
 
赤磐市・「種まく旅人」
市制10周年記念で誘致実現 上映終了後も集客に活用

 赤磐市は、市制10周年記念事業の一環として市が舞台になった映画「種まく旅人~夢のつぎ木~」のロケを誘致。昨年末までに上映は終了しており、ヒットとは言えないまでも、桃農園や酒造メーカーなどが作品に登場し地元の魅力をPRする作品に仕上がった。

 ロケは、一昨年8月に2週間程度を実施。ロケの直接的な経済効果は分からないが、上映による効果については市総合政策部の徳光哲也参与は「まだ歴史の浅い赤磐市をPRする目的は果たせた。全国的な知名度は上がったはずだ」と強調する。

 市秘書企画課では「一過性の効果で終わらせたくない」とし、今年に入っても関連したツアーやイベントを展開。3月18日に旅行会社主催の「ロケ地巡りツアー」に、県内外の約20人が参加した。昨年10月~今年2月末には、市内観光地13カ所を回るスタンプラリーを実施。映画グッズ、特産品を50人にプレゼントするもので、見込みを上回る延べ186人の申し込みがあり、市外在住者が半数を占めた。

 ただ、どちらのイベントも、桃農家をテーマにした割に桃の時期外れとなったことから、今年7月上旬には再度集客イベントを企画。映画まつりと題し、同映画の作品展と佐々部清監督作品の上映などを実施する。また、桃狩りを組み合わせたツアーなども企画提案し、継続的に誘客を図る。

瀬戸内市・「君と100回目の恋」
ロケ地が観光スポットに GWに遠方からの訪問期待

 瀬戸内市では昨年5月、海を舞台にした恋愛映画「君と100回目の恋」のロケを誘致した。県内の大部分を県下で撮影した作品で、県外客誘致に期待している。

 県下での上映は3月末までに終了したものの、人気の高い若手俳優・坂口健太郎を起用したことで、20歳代の女性を中心にロケ地巡りが相次いでいる。物語のメーンとなったカフェとして登場する「カフェ岩風呂」(瀬戸内市牛窓町鹿忍6836-4)は、休日になるとあふれんばかりの人が集まるという。

 全国ではまだ上映されている地域もあり、同FCの石田一成代表理事は「これまでは比較的近い関西や隣県中心だったが、ゴールデンウイークになれば首都圏など遠方が増える」と、地元の観光センター「瀬戸内きらり館」での映画・ロケの写真展を継続している。

ロケ地PRへ情報発信強化

 近年の映画ゆかりの地「聖地」を巡る観光客増加を受けて、映画やドラマなどのロケを誘致する非営利組織の県下7団体で構成する岡山県フィルムコミッション協議会(岡山県観光連盟内)は、新たに県下ロケ地のプロモーション事業を本格展開している。

 インターネットで情報を得る人が多いため、岡山でロケの大半を行った作品について、同協議会のホームページにロケ地マップを掲載するとともに映画の公式ホームページとリンクし誘客を図っている。その第1弾となったのが、瀬戸内市をメーンとした「君と100回目の恋」で撮影秘話を踏まえロケ地を紹介したほか、県内での上映期間中は、岡山駅地下で作品に登場した衣装展も開催した。

 今後、年末までに、俳優の生田斗真・広瀬すずW主演の「先生!」、俳優の佐藤健・土屋太鳳主演で県内在住カップルの実話を映画化した「8年越しの花嫁」など、メジャーな出演者がそろう話題作が相次ぐだけに、県外客誘致へプロモーション事業に期待が掛かる。

 映画を観光に結び付ける手法については、スタンプラリーや作品展などが一般的。地元行政がバックアップしたケースは、倉敷市のようなラッピングバス・電車による告知、赤磐市の地元に監督・出演者を招いた舞台あいさつなども行われた。

 県観光課では「映画とのタイアップ企画は、上映前に段取りしていないと間に合わない。ヒットするかどうか“賭け”の要素もある」と言う。作品によっては2週間足らずで打ち切りとなるものもあるため、岡山弁での会話の有無や登場するロケ地などの事前情報を踏まえ、PR効果どれだけ見込めるか判断が求められるため、多額の投資がしにくい面もある。

 それでも、昨年夏に公開され、いまだに上映が続く大ヒットアニメ映画「君の名は。」が誘客効果を発揮しており、地元PRへ映画に掛かる期待は大きい。今回の「ひるね姫」の場合、「岡山を全国に知ってもらう」として県広聴広報課がPRを側面支援。JR児島駅床面の告知イラストのほか、4月17日まで東京都のアンテナショップ内レストランを「ひるね姫食堂」に変更し映画で登場した料理を再現し、館内をひるね姫仕様に装飾しPRしている。県では「知ってもらうためには、話題になったもの勝ちの面がある」と、岡山の認知度アップを図る。

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