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[法律] 職場での不倫がもたらす重大問題

Q. 当銀行の男性行員Kが、部下である女性行員Bと社内不倫をしていることが判明しました。社内で肉体関係を持ちこれを公言しているようです。小さな支店での出来事で、取引先の企業や顧客にまで噂が広がり、当行の信用が落ちてしまいました。懲戒処分できますか。

プライベートでは済まされない

A. 不倫は配偶者を裏切る行為であり、社会的にも道徳的にも非難される行為です。しかし非難される行為とはいえ、不倫は個人の恋愛の問題と言えます。そのため会社は不倫を理由とした懲戒処分ができるでしょうか。

 この点、懲戒処分は、会社が企業秩序や職場規律を維持するために、これを乱した従業員に対して行う制裁です。そのため、従業員の不倫についても、それがプライベートの範ちゅうにとどまり、かつ企業秩序や職場規律を乱すことがない限りは、直ちに懲戒処分をすることはできません。

 もっとも、不倫という個人の恋愛に関する問題であっても、それが企業秩序や職場規律を乱している場合や、企業の社会的評価を毀損している場合は懲戒処分の対象となり得るといえるでしょう。具体的には、企業の職種、従業員の地位・職務内容、交際態様、交際が与える影響等諸般の事情に照らして総合的に判断することになります。

 さて、今回の件を見てみましょう。KとBは、銀行の従業員という金融業界を代表する職種に就いています。そして、これを社内で公言していますので、他の従業員の士気にも大きな影響を与えていることが推認されます。加えて、社内で肉体関係を持つという、それ自体が企業秩序を乱す行為を行っていると評価できます。現に取引先企業や顧客からの信用も低下しているとのことですから、銀行に対する悪影響も重大です。

 したがいまして、KとBの不倫は単なるプライベートな問題にとどまらず、企業秩序や職場規律を乱していると考えられます。そのため、銀行はKとBの懲戒処分を有効に行うことができるでしょう。ただ、懲戒の種類は慎重に選択しなければなりません。たとえば、いきなりの懲戒解雇は、処分が重すぎますので注意が必要です。

 以上で説明をしたとおり、社内不倫をした従業員に懲戒処分をすることができるか否かは事案ごとに異なってきます。その他不祥事が起きた場合の対処方法も同様です。悩んだときには、弁護士にご相談されることをお勧めします。

小林裕彦法律事務所
弁護士
藤井秀孝氏
岡山市北区弓之町2-15
TEL.086-225-0091

本誌:2016年秋季特別号 24ページ

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