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連載記事マネーの道しるべ 67

欲望の資本主義

  • 森康彰氏

 最近NHKの「欲望の資本主義」という番組を興味深く見ています。その中で「人間というのは対比によって物事を理解するらしい」とのこと。その中で、社会主義や共産主義といった明確な比較対象を失ってしまった資本主義を再定義するという試みを2016年から繰り返し放送してきた番組です。01年にノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・ユージン・スティグリッツ、1989年、共産主義崩壊後に資本主義に舵を切ったチェコ共和国の大統領経済顧問を24歳で務めたトーマス・セドラチェク、「新実在論」を提唱する気鋭の哲学者マルクス・ガブリエルなどが「資本主義とは何か」をテーマに語り合います。また、コロナ禍においては、ウィズコロナ、アフターコロナの世界がどのようになっていくかについての見解を知ることができました。

 幼いころ、ドラマなどでヒロインが夜空を見上げ、「この宇宙の大きさに比べたら私の悲しみなんてちっぽけ」というセリフを聞き、悲しみという主体的な問題を相対的、物理的に置き換えて比較しても悲しみが癒えることなんてないなと感じていた理屈っぽい私でしたが、番組を繰り返し視聴したことで、不確かな世界と向き合う覚悟ができました。「確かな世界」と「不確かな世界」について、明確な線引きをすることができたからです。それは夜空を見上げるよりも、夜空のその上から星々越しに世界を眺めているようでもあり、安心を感じられるようになりました。

●森康彰●2年間、保険代理店に勤めた後、2008年に保険コンサル会社㈲e.K.コンサルタントを設立。2014年に東京支社を設けるなど、首都圏へも業務を拡大中。 敬愛する人物は、稲森和夫、立川談志。

本誌:2020年秋季特別号 13ページ

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