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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

70年ぶりのノミ(蚤)被害

 ようやく夜中の寝苦しさが和らいだ9月初めの明け方、足元を何かがチクチク刺している気配がしました。朝起きてから足を見てびっくり仰天。左右のひざ下それぞれ20カ所も紅斑ができて猛烈に痒いのです。こういう場合掻いてはだめと分かっていても我慢できるような痒みではありません。

 蚊とは明らかに違うし、何だろう?しばらくしてこれはノミに違いないと思い至りました。それにしてもノミにやられるなんて、記憶をたどってみると70年近く前の幼児時代(昭和20年代)にまで遡ります。現在寝室として使っているまさにその部屋で私は生まれ育ちました。

 終戦直後の物資のない時代、日本人は最悪の衛生環境の中で暮らしていました。子どもの頭はシラミだらけ、布団に入ればノミが飛びかかってくるというおぞましい時代。そのころ登場したのが、アメリカ進駐軍がもたらしたDDTという強力な殺虫剤です。銀座の街頭で進駐軍の兵士が若い女性に頭からDDTの粉剤をふりかけ、彼女たちもきゃっきゃっと喜んでいるニュース映像を映画館で見たような記憶があります。

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本誌:2020年秋季特別号 15ページ

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