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嗅覚障害

 最近食べ物がちっともおいしく感じられなくなり味覚障害かなあと思っていたのですが、真相は嗅覚障害であることが分かりました。においが感じられないことになぜすぐ気付かなかったのか我ながら鈍感な人間だと落ち込みます。コーヒー、焼き肉、庭のスイセンやジンチョウゲまでもが何のにおいも発していないことに気づかなかったなんて!さっそく近所の耳鼻科に行きました。

 診療所ではアリナミンテストなるものを受けました。びっくりです。嗅覚のテストなのでバラの甘い匂いとか靴下の強烈な悪臭でもかがされるのかと思っていたら「これから腕に薬を注射しますがニンニクのにおいがしたらすぐ言ってください」と看護師さんから言われました。

 “腕に注射されたにおい成分を鼻で感じる?”訳が分かりません。訳が分からないまま看護師さんはあやしげな注射を腕にブスリ。そのまま10分ぐらい待たされるのかと思ったら大違いで、血流に乗ったにおい成分はわずか数秒で嗅覚神経に到達するそうです。しかし、しばらく待っていても私には顕著なニンニク臭が感じられません。すると看護師さんが「ニンニクのにおいしませんか?」と誘導尋問。そういわれてみると何となくニンニクくさいような気がして「においます」と答えました。すぐさま看護師が「臭いが消えたら言ってください」と続けます。

 私はニンニク臭が継続しているともいないともはっきりしないまま、看護師さんの期待を裏切るのも悪いので「消えました」と答えました。このように簡単に他人に迎合してしまう性格では、事件の容疑者にでもされたら老獪な刑事の誘導尋問に何が何やら分からないまま「やったかもしれない」と自白してしまうこと必定です。

 ともかく、私の嗅覚はかなり悪くなっているようでステロイド剤や点鼻薬などを薬局で受け取って家に帰りました。ネットで調べたら治らなくてあきらめた人、治った人などいろんな体験談がありました。私の場合、急激に悪くなったのは今年になってからですが、以前から兄や知り合いの人がたまに我が家にくると「この家くさい、たまらん、リセッシュ買ってこい」などと言っていたのを「ネコのにおいぐらいで何を大げさに騒いで……」と気にせずいたのは、私の鼻が半ば壊れていたせいかもしれません。

本誌:2018年3.19号 30ページ

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