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[法律] 会社分割

Q. 最近当社が債権を持つ会社が、会社を分割したと聞きました。注意すべきことはありますか。

詐害的な会社分割にご注意

A. まず、会社分割とは、分割する会社(分割会社)が、その事業に関して有する権利義務の全部または一部を他の会社に承継させることを言い、既存の会社(承継会社)に承継させる吸収分割と、新しく設立した会社(新設会社)に承継させる新設分割とがあります。

 近時、債務超過やそれに等しい状態にある会社において、債権者の理解を得ながら、優良事業に係る資産と一部の債務のみを新設会社等に承継させ優良事業を継続し、会社再建を図る手法として、会社分割が活用されています。ところが一方で、分割会社が、債権者に秘匿したまま会社分割を行い、一部の債権者の利益を一方的に害する詐害的な会社分割が問題となっています。例えば東京高裁平成22年10月27日判決では次のようなケースが問題となりました。飲食事業と広告宣伝事業を営んでいた分割会社Xが、広告宣伝事業が業績不振で債務超過状態に陥ったため、飲食事業のみを新設会社Yで営み会社再建を図ろうと、新設会社Yに無担保資産と一部の債務を承継させ、承継させた債務について分割会社Xが重畳的債務引受をし、分割の対価として分割会社Xに新設会社の株式が交付されたが、分割後の分割会社は実体がなくなっていたというケースでした。

 会社法は、債権者保護手続として、原則として分割後に分割会社に債務の履行を請求できない債権者は会社分割に異議を述べることができ、その場合には、会社は会社分割をする旨等を官報に公告または知れている債権者に個別に告げなければならないと定めています。ところが上記ケースでは、新設会社Yに承継させた債務についても分割会社Xが重畳的債務引受をし、分割会社Xに債務の履行を請求できるため、上記債権者保護手続が不要となり、債権者に秘匿したまま会社分割を行うことが可能でした。

 上記ケースについて、新設会社Yに承継されなかった債権者は、新設会社Yに対して詐害行為取消権に基づき会社分割の取消しを求めるとともに価格賠償として債権相当額の支払いを求めたところ、高裁判決はこれを認めました。

 現在、法制審議会の会社法制部会においても詐害的な会社分割が取り上げられ、会社分割の見直しが検討されています。詐害的な会社分割にはご注意下さい。

おかやま番町法律事務所
池田 曜生 氏
岡山市北区番町1-5-5
TEL086-231-1645

本誌:2011年10.31号 21ページ

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