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巻頭特集”加熱”する岡山マンション市場

創エネ、オーダーメイド、街中立地と戦略さまざま 飽和状態を懸念する声も

  • 中心部の人気は抜群(ザ・ダイソー岡山中央店跡)

 岡山市内を中心に分譲マンションの売り出しがおう盛だ。7月以降主なデベロッパーだけでも岡山市内で400戸以上が発売または発売予定、在庫水準も改善し、様子見していた用地の開発も一気に進んだと言う。一方、物件を見ると、創エネ設備や展望大浴場を備えるものや、間取りを自由に変えられる「オーダーメイド」マンションなど、独自色を打ち出した物件が目立つ。在庫があふれアウトレットマンションまで登場した2008年のマンションバブル崩壊を経て変化した各社の戦略と岡山マンション市場の今後を追った。

1棟50戸未満中心に開発加速

 「売れ行きは好調。確保していた土地もおおむね吐き出した」(㈱和田コーポレーション岡山支店)など、岡山市内のマンション販売は活況を呈している。特に中心部に立地する30~50戸程度の物件は短期で完売するケースも多い。不動産事業の㈱ダイシン(岡山市)では「中古市場にも波及し、売りたくても物件が少ない」と、好調ぶりを明かす。

 供給量も今年に入り増加。「今売りに出ている、または近日売り出される戸数は約600戸程度。在庫はその半分も残ってないだろう。これまでに完売したものも含めると今年の供給量はかなりのもの」と不動産事業の㈱ウェーブハウス(同市)。さらに夏以降、供給ペースは加速。来春にかけて続々と新規物件が登場する見込みだ。

 穴吹興産㈱岡山支店は、「リーマンショックの影響が薄れた2年ほど前から需要が徐々に高まっているのを感じていた」と話し、供給戸数の増加は、「そのニーズの盛り上がりを受け、塩漬けしていた用地の事業化に各社とも乗り出した。その物件が現在発売のタイミングを迎えていることが一因では」と推測する。

 一方、発売されている各物件を見ると、それぞれ異なる戦略で差別化を図っていることが分かる。

立地からCO2排出権販売提案まで
独自色打ち出すデベロッパー

 ㈱マリモ(広島市)が、今年3棟目として岡山市中区原尾島1-85-1他で近く発売する「ポレスター原尾島ガーデンコート」は、今年唯一100戸を超える119戸のマンションだ。

 さまざまな差別化が盛り込まれた物件だが、最大の特徴は創エネ・省エネ設備。屋上に設置する太陽熱給湯システムと高効率給湯器エコジョーズを組み合わせた創エネシステム「ポレソーラー」を導入。岡山のマンションでは初という電力一括購入やLED照明、節水機器など省エネ設備と合わせ、光熱費を1戸当たり年間6万2500円程度削減できるとしている。

 さらに、同社ではCO2削減分を温暖化ガス削減目標を定める大企業などに売却し、利益を管理修繕積立金に充てることを提案。1世帯当たり10%程度の負担軽減が図れる見込みで、グループの管理会社で取引に必要な管理組合の法人化もバックアップするとしている。

 それだけではない。インパクトが大きいのが最上階の展望大浴場。人気の高さは、立地も相まって2カ月で完売した同ガーデンシティ清心(岡山市北区奉還町1-11-8、2001年発売)で実証済み。共用のパーティールームや来客を泊められるゲストルームなども備える。

 和建設㈱岡山支店が打ち出しているのは、間取り、内装などを自由に変更できる「オーダーメイド」マンション。現在、同市中区円山71他の「ビ・ウェル円山」を販売中だ。

 5月に発売したビ・ウェル東古松以降、県内で提供するマンションすべてを「オーダーメイド」で提供する方針。営業、設計から仕入れ、施工までの一貫体制を生かし、リーズナブルな価格で実現したのが特徴で、「円山」を例に挙げると1590万~2690万円の販売価格内で、グレードアップや大幅な水回りの位置変更などを除き変更の要望に対応することをアピールしている。

 中心部への立地が特徴となっているのは和田コーポレーション岡山支店の「ロイヤルガーデン」シリーズ。現在同市北区中山下1-8-15のザ・ダイソー岡山中央店跡で「同中山下(仮称)」を開発中。来春早い時期に発売したい意向。

 同社では、これまで「岡山駅前壱番館」「同弐番館」「丸の内」「内山下」など岡山市街最中心部を開発。いずれも2カ月以内の短期で完売させてきた。中でも「駅前弐番館」は、ほぼ即日完売。同業他社に最中心部の人気の高さを見せつけた。

 そのほか、第1期販売で2980万円~1億1800万円という高級マンション「パーソンズフェリーチェ津島西坂」をセルクル・エイエフ㈱(岡山市)が開発。両備不動産カンパニー(同市)の居宅・訪問介護事業所併設のエイジフリーマンション「グレースオークス岡山」が同市北区東島田1-14で引き続き販売中など、岡山市内のマンション市場は、さながら見本市の様相となっている。

早ければ来春には供給過剰へ突入か
慎重姿勢も土地確保には積極的

 現在は増加するマンション供給の中にあっても、販売状況はおおむね好調だが、「いずれ近いうちに市場は飽和し、供給過剰が売れ行きを直撃するのでは」と懸念する声も聞かれる。ウェーブハウスによると「岡山市の人口から見て、適正な供給戸数は年間600戸程度」。昨年積み残した在庫を加えると、すでに適正水準を超えていると言う。ただ、リーマンショックとそれに続くマンションバブル崩壊を経験したデベロッパーが最近まで開発を抑制していたことから、「積み増しされた需要が好調さを支えているのでは」と各デベロッパーはみている。

 各社に聞くと供給過剰に突入するのは来春~夏と読みはさまざまだが、いずれ近いうちに訪れるというのが共通認識。「マンションバブル崩壊時のようにアウトレットまで派生するとは思えないが、在庫水準は悪化し、完売までが長期化する」と言う。発売する物件の多くが短期完売する和田コーポレーション岡山支店でさえ、「年間に倉敷で1棟、岡山で3棟のペースを継続したいが、状況次第では計3棟に落とさざるをえないかもしれない」と警戒している。

 それだけに「立地と価格のバランスにはすでにシビアな判断が要求されている」(和建設岡山支店)や「価格競争に陥らないようにするためにも差別化が必要」(マリモ)との声が聞かれる。また、発売されるマンションのほとんどが1棟50戸未満というのも、リスクを避ける意味が大きいと言う。

 一方、土地の仕入れについては意外にも各社とも積極姿勢を示している。1つは立地さえよければ売れるという判断と、資金調達から回収までの期間が長く、コンスタントに供給していかなければならないマンション業界ならではの事情がある。さらには消費税増税を見越してというデベロッパーも。穴吹興産岡山支店によると「いつになるかは分からないが、必ず増税はある。増税前に商品がないのは避けたい」というところのよう。ただ、増税時期の見極めは難しく、各社頭の痛いところのようだ。

本誌:2011年10.31号 4ページ

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