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連載記事人材育成のタネ 45

組織の中での問題と課題の対処法

  • 竹本幸史氏

 問題と課題。この2つの言葉を日常の場面でもよく使いますが、「問題解決」を考えるにあたり、ここではまず、「問題」と「課題」について定義することから始めたいと思います。問題とは、辞書によると4つの意味で定義しています。問いかけて答えさせる題。研究・論議して解決すべき事柄。争論の材料となる事件。人々の注目を集めていること。日本語は、広義であることが特徴ですが、ビジネスの現場では、次のように定義されます。「問題とは、現状(実際の姿)と目標(あるべき姿)との差異」。つまり、定めた目標と現状の間に差異が生じると、その状況を問題だと認識するのです。一つの事象について、ある人は、これは問題だと主張し、他の人は、別に問題ではないというようなことはよくあります。例えば、人口減少化問題ですが、多くの人が問題だと思う一方で、あるデータによれば、約2割の人が別に問題だと思わないと答えています。それはどういうことを表しているのでしょうか。

 実は、「問題」には次の2つの種類があります。あるべき姿(目標)が明確に定まっており、共有できている場合と、あるべき姿(目標)が人・状況により異なる場合です。最初のケースは、目標が組織・集団の中で明確に共有されていますが、現状がその目標との間に差異が生じているときです。このケースでは、組織・集団内のだれもが問題を認識します。2つ目のケースは、組織・集団のメンバー間で、目標(あるべき姿)が定まっていないときです。一人ひとりが描く目標(あるべき姿)が異なれば、人により問題の認識も異なります。先に取り上げた「人口減少化」の問題も、国力の低下や年金問題の深刻化から、大きな問題であると考える人もいれば、地球全体の規模で考えれば、人口が急増している現代にあって、一国の人口減少をさほど問題視する必要はないと考える人もいます。あるべき姿(目標・基準)が異なるために、問題のとらえ方が異なってくるのです。ビジネスの現場でも、環境が大きく変化し続けている状況では、いったん定めた目標も、常に見直しが求められます。つまり、環境変化をとらえ、それを踏まえて新たに目標を設定し直すことにより、「問題」も変化するのです。
 
 課題は、辞書によると「題・問題を課すること。また、課せられた題・問題」とあります。「問題」も「課題」も解決という言葉を伴うことから、「課題」とは次のように定義できます。「課題とは、問題を解決するために、行動を起こすことを意志表明したもの」。問題は、主体的に解決する意志を持って行動を起こすことによって解決に向かいます。それが、課題形成する。課題化するということです。問題解決にはプロセスがあります。富士山の頂上を目指して登るとき、例えば5合目までは車で行き、6、7合目、そして8合目と順にプロセスを踏んで登ります。なぜなら、ヘリコプターでも使わない限り一気に頂上まで登ることはできないからです。しかし、日ごろ、問題を解決したいとき、なぜか一気に結論にたどり着きたい、解決したいと考えがちです。しかし、問題解決において“ヘリコプター”はありません。問題解決にはプロセスがあり、意識するかしないかは別にして、以下のプロセスを踏んでいるのです。あるべき姿・目標・基準に照らして、現状(状況)から問題を認識する→問題発生。現状分析、課題の明確化→課題形成。目指すべき目標・ゴールを設定する。実行計画の策定。計画を実行する。結果を検証し、ナレッジ化する。

 問題解決に当たるとき、意識してこのプロセスを踏むことは通常ありません。それゆえに、登山のようにプロセスを順序よく踏んで、頂上(結論)に至るのではなく、各プロセスを行ったり来たりしているのが現状です。ところが、「問題解決に優れた人」は、実は、意識してこのプロセスを踏んでいるのです。改めて組織の問題を解決するプロセスを見直し、「学習する組織」へのステップを踏み出すようにしましょう。

●竹本幸史● 元㈱リクルート岡山支社長。現在は人材育成を主としたコンサルティング業務の㈱SWITCH WORKSを立ち上げ奔走。またリーダー養成スクール「法人会員制・定額制ビジネススクール」を開講中

本誌:2017年9.4号 11ページ

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