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代表質問吉備中央町長 山本雅則氏

財政基盤固めの取り組みを維持 人口減少歯止めかけ活力創出を

 昨年9月の町長選で無投票再選を果たした山本雅則町長。中山間地にありながら、企業誘致に積極的に取り組み、コメを返礼品としたふるさと納税で脚光を浴びるなど知恵を絞り町政に取り組んでいる。人口減少が大きな課題となる中でどのように活性化を図っていくのか、今後の戦略を聞いた。

―1期目を振り返って。

 町長に就任し最初に取り組まなければならないと考えたのが、自主財源2割弱という脆弱(ぜいじゃく)な財政基盤の強化。町の活性化を図ろうにも財源がなければ何もできない。そこでまず町営メガソーラーの設置に取り組んだ。町有地2.7haに民間事業者が発電施設を設置し、リースを受ける形で、年間1億円の独自財源を確保できた。

 また、中学校統合で廃校となった4校への企業誘致も推進。自ら企業に出向き厳しい反応の中で説得を重ね2016年には旧加茂川中学校跡地でフジパングループの㈱エフベーカリーコーポレーション(大阪市)が工場を稼働。旧大和中学校校舎に㈱アムリット.DC(岡山市)が犬・猫の介護施設を整備することが決まった。時間がかかると思っていたが1期目のうちにほぼすべての活用にめどを立てることができたのは幸いだった。財政基盤を当初の想定以上に固めることができたと思う。

―ふるさと納税でも脚光を浴びた。

町産コシヒカリを返礼品としたふるさと納税も就任してすぐに取り組んだ。還元率が高く味も良いと反響は大きく、16年度には寄付総額が6億円を超えた。主要産業の農業振興のための重要な財源となっている。国は過剰な返礼品競争に見直しを打ち出しているが、吉備中央町ではコメの購入費用、鳥獣害対策の電気柵設置補助金など全額を農業支援に充てている。耕作面積の増加にもつながった。今後も規律をもって取り組んでいくが、総務省にはぜひ、地方が搾り出した知恵を理解してほしい。

―2期目の取り組みは。

 財政基盤の強化などは着実に継続しながら、さまざまなことにチャレンジしていきたい。最大の課題は人口の減少。現在1万2000人だが、毎年約200人ずつ減少している状況に歯止めをかけなければ、町の活力が失われ、社会、文化を維持できなくなってしまうと大きな危機感を持っている。幸い企業誘致や18歳までの医療費無料などの施策で社会動態はプラスに転換した。今後は子どものいる世帯を増やし、自然動態でもマイナス幅を縮小したい。そのために子育て支援を充実させるとともに、生活インフラの改善に努める。現在買い物環境整備に関する検討委員会、交通体系に関する検討委員会で対策を進めているところだ。一例として、町内になかったドラッグストアを誘致し10月にオープンするほか、認定子ども園の設置も進めている。4月に吉備高原都市の複合施設きびプラザにオープンした屋内型子ども広場「キッズパーク」は、3カ月で来館者1万人を達成。町外からの来館が6割に上り、子育てしやすい町のアピールにもつながっている。

 産業振興では、観光誘致にも重点を置いている。アピールするのは自然体験だが、それだけでは多くの自治体と同じ。差別化を図るためメンタルヘルスを付加価値に誘客を図るプロモーションを展開していく。来たときと帰るときに健康チェックしてもらい、どれだけいやされたか実感してもらう作戦だ。岡山乗馬倶楽部では大学との共同研究も行っており、大手企業に福利厚生で利用してもらえればと考えている。また、岡山市、真庭市とともに取り組む「岡山型ヘルスツーリズム拠点化事業」でイスラム教徒の誘客に努めるなど、インバウンドにも力を入れていく。

 もう1つ注力したいのが、吉備高原都市への企業誘致と移住促進。停滞感を払拭し、都市開発を再度進めたい。

―次々とアイデアを実現する秘訣は。

 育ってきたこの地への愛着と財源がない中で町を良くするには勇気をもって頑張るしかないという思い。一気に状況が改善するような施策などなく、これはというものを、コツコツやっていくしかない。さらに大事なのが、職員の頑張り。声を上げるのは町長だが、実現するのは職員。町民の評価の声が感じられるようにするなど、やりがいを感じてもらえる仕事をさせることで、良い状況を生み出せているのだと思う。

やまもと・まさのり 吉備中央町出身。1981年国士舘大学政経学部を卒業し旧賀陽町役場入り。農林課長補佐、教育委員会事務局長補佐などを歴任。12年10月町長就任。長男は独立しており吉備中央町の自宅で母、妻、長女の4人暮らし。59歳。

本誌:2017年9.4号 5ページ

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