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- VISION OKAYAMA 2020年10月5日号
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移動スーパー「とくし丸」が40台に 「高齢化社会」「コロナ禍」にマッチ
とくし丸40台達成出発式(天満屋ハピータウン ポートプラザ店)
買い物難民らに支持されるとくし丸
とくし丸の車両
岡山県南を中心に㈱天満屋ストアグループ(岡山市)が展開する移動スーパー「とくし丸」の販売車両台数が、9月22日、40台となった。台数は全国122社の運営会社の中でナンバーワン。平均売上高も順調に伸ばし、高齢者社会の進展による買い物難民の増加に加えコロナ禍もあり、当初の予想以上に支持を伸ばしている。
同事業は、高齢化が進む中で消費者に歩み寄り、社会的課題の解決に貢献しようと2014年9月、㈱とくし丸(徳島市)とFC契約を結び翌15年から開始した。軽トラックに食品や日用品など約300品目を積み込み、週1~2回のペースで10㎞圏内の買い物客宅まで出向くスタイルで、事業そのものが独居老人らの「見守り」機能も兼ね備える。
8月実績で1日の売上高は平均10万7000円に上り、19万円という最高記録も生まれた。対象顧客数は約4800軒に上り、新型コロナウイルス感染症が拡大した3月には、新規客が前年の16人から42人に跳ね上がったという。
運営にあたる㈲ハピーバラエティ(岡山市)の小谷政宏社長は「当初は新しいルートを開設すると、1日の売上高は4万円程度だったが、いまでは6万~9万円。営業先でもとくし丸を知っている人が多く、着実に浸透していることを感じる」と手応えを語る。
とくし丸がこれほど実績を上げている理由として、まず挙げられるのは天満屋ストアの姿勢。「日々の買い物に困られている方が多く、早期にルートを開拓し、開業を少しでも早めることで地域社会に貢献しよう」(野口重明天満屋ストア社長)と、通常は営業担当2~3人で事業展開するところ2倍以上の6人体制で推進。当初から日本一を目指し取り組んだことで、想定を上回る成果、スピード化につなげた。
また、見逃せないのはドライバーの質。対面でのコミュニケーションが欠かせない業務内容のため、面接時点で接客スキルや社会貢献意識などに関する高いハードルが課せられる。これをクリアすれば1日の体験乗車を経て、営業担当者とともに自らの顧客開拓に取り組むことになる。
1コースの顧客数は最低25人に設定されており、3つのコースができて初めて“開業”という運び。自分の居住地などは関係なく、文字通りゼロからの開拓となり、350万~380万円の資金を投資しても開業まで収入がない条件は厳しいようにも映るが、これまで収入への不満で事業を離れたケースはないそうで、かなりの「本気度」と「資質」を兼ね備えたドライバーが集まっていることをうかがわせる。
ちなみに、ドライバー36人の年齢は30~60歳代で性別は男性31人、女性5人。経歴はさまざまで、介護業界の経験者も多い。希望者が増え、開業まで時間がかかるため、現在は新規の募集受付を休止中という。
事業開始から5年余り。順調に実績を伸ばすとくし丸だが、急速な規模の拡大とともに管理体制の見直しが迫られている。今年3月には100%子会社のハピーバラエティに業務を委託し体制を強化。「とくし丸通信」を定期的に発行、店舗内に掲示して情報共有を図り、社員・パート全員が事業に対する意識を高めるよう努めている。
また、ドライバーが増えるとどうしても1人ひとりとコミュニケーションをとる機会が減り、「サービスの水準を維持するためチェーンオペレーション的なルール作りが必要かもしれない」と小谷社長。天満屋ストアの店舗を起点とする巡回コースのため、県北など一般に買い物難民が多いエリアからの要望に応えにくいことにはジレンマもあるようで、とくし丸の事業パッケージを移動スーパー以外に活用することも今後の検討課題という。
広島県福山市内などの新規エリアや鳥取市・八頭郡のような“飛び地”となっている地区のルート充実とともに、フル稼働状態の既存ルートの見直しも進め、早期に50台体制を目指す方針。
とくし丸はライフライン 40台達成記念し出発式
連休最終日の9月22日、広島県福山市の天満屋ハピータウン ポートプラザ店で、40台目となるとくし丸の出発式が開かれた。
ハピーバラエティの小谷社長が「事業を開始して5年半。とくし丸は単なる移動販売ではなく、地域住民のライフラインを担っていると痛感している」とし、成功に向け店舗側の協力を要請。
販売パートナーとなった藤井宏氏(39)が「タクシー運転手時代に買い物難民の多さを知り、とくし丸に挑戦することを決めた。困っている人の力になり、笑顔を届けられるよう頑張りたい」と決意を表明。商品を満載した車両で早速、買い物客のもとへ出発した。
福山地区ではこれまで地元スーパーの㈱ニチエーがとくし丸を運営していたが、同社が愛媛を本拠とする㈱フジの傘下入りしたことに伴い、天満屋ストアが路線を引き継ぐ形となった。
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