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特集[スター☆ベンチャー誕生2020]就実大学大学院医療薬学研究科・薬学部教授 中西徹氏

脊髄損傷患者を救いたい 再生医療技術生かし起業

  • 再生医療の研究を日夜続ける中西教授

 再生医療技術を活用した脊髄損傷治療用の神経幹細胞の開発というビジネスプランで採択されたのは、就実大学大学院医療薬学研究科・薬学部教授の中西徹氏。「研究のための研究では意味がない、研究成果を社会に還元してこそ大学研究の意義がある」と、分子生物学、細胞工学の専門家として再生医療の研究に長年注力する中で発見した「X4N細胞」活用での起業を目指している。

 「X4N細胞」は、生体内に存在し、ES細胞(胚性幹細胞)、iPS細胞に比べがん化や拒絶反応などのリスクが低いとされる間葉系幹細胞から発見した、各種の神経細胞に効率よく分化する細胞。ほかの細胞から同細胞のみ分離する独自の方法(特許申請済み)も確立した。すべての細胞に分化可能な万能細胞として注目されているES細胞、iPS細胞が、効果、安全性、治療費、倫理面などの点で一長一短があり、未だ治療法が確立されていないのに対し、早期の実用化が期待でき、効果の程も、脊髄を損傷したラットに投与したところ1カ月後に回復し歩行が可能になるなど「iPS細胞を上回る治療成績」という。

 同氏の研究分野は分子生物学、遺伝子工学、放射化学など多岐にわたるが、対象は主に神経。その中で「国内で10万人以上の患者がおり今まで不治とあきらめていた脊髄損傷の治療に役立てられる」と同細胞に光明を見出し起業を決意した。同氏は県産業振興財団に事務局を置く「おかやまバイオアクティブ研究会」の幹事でもあり、同財団から「スター☆ベンチャー誕生2020」のビジネスプラン公募について紹介され、応募した。

 脊髄治療用の実用化となるとさらなる研究、実験が必要で時間や開発コストがかかる。市場投入されれば年間数百億円の売上高を見込むが、臨床試験などで5~10年ほどかかると読む。その間の収入を得る手段として、当面はアンチエイジング化粧品の商品化を進めるプランも盛り込んだ。再生医療、幹細胞技術を利用し開発し皮膚の若返りが期待できる。今年中にタイで美容液などを商品化。現地での市場調査などを経て改良し将来的に日本で販売する計画だ。

 事業化に向けた新会社「リジェネフォーティー㈱」は1月8日に設立。同氏が社長に就任し岡山市内に本社を置く。また、4月に神戸市の神戸医療産業都市にある創業支援の拠点で各種の実験設備が充実している「クリエイティブラボ神戸」に研究室を開設する。

 当面の課題は研究開発のための資金調達だ。同財団の紹介で1月25日に岡山市内で開かれる投資家、金融機関とのマッチングを図る「ベンチャーマーケット岡山」にも参加する。

本誌:2021年1月18日号 5ページ

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