WEB VISION OKAYAMA

連載記事マネーの道しるべ 68

持続可能な社会の範囲とは

  • 森康彰氏

 さまざまな場所で、持続可能な社会を実現するための議論がされていますが、「社会」とは、どこまでの範囲を指し示すのかについての議論が抜け落ちているように感じています。ドイツの哲学者、マルクス・ガブリエル氏の唱える新実存主義では、世界は存在しないと提言しています。それに当てはめるのならば、持続可能な社会について議論する前に、「社会」について定義する必要があると思うのです。

 行政による議論であれば、治めている地域限定の議論になるのは仕方がないことでしょう。しかし、持続可能な社会について話し合うということは、未来永劫、少なく事も2世代先までの未来について持続可能であるための在り様について話し合うわけですから、一部で議論されている道州制なども視野にいれて議論されるべきではないでしょうか。 

 我が社は、鳥取県米子市と高知県高知市、四万十市に支社があるのですが、四万十市の顧客は年に数回、電車で4時間半かかる倉敷市のアウトレットモールに買い物に行くのを楽しみにしているそうです。高知県には大丸がありますが、有名ブランドのテナントがほとんどないのが要因のようです。アマゾンや楽天のようなECサイトを使えば欲しいものを買うことはできますが、その顧客は店員との会話も楽しみの一つにしているようでした。

 高速道路は、地域と地域をつなぐために整備が続いており、物理的な移動も以前よりは短縮しています。ただ、持続可能な社会を考えた時、インフラを維持するためのコストも計算に入れる必要があるでしょう。一方で、コロナ禍の影響で病院での初診がオンラインでできるなど、これまで反対が強かった岩盤規制も崩れつつあります。金融業界でも生命保険契約は、一部面談なしに契約できるようになっています。

 コロナ禍の影響で現在の社会は、分断と拡大の両面が進んでいる状態といえるでしょう。持続可能な社会について考える時、その「社会」とはどこまでを指すのかを定義し、その範囲が広ければ広いほど、社会は豊かになると思うのです。西日本の交通の要衝である岡山県民の我々は、今一度、私たちの社会とはどこまでの範囲を指すのか考える必要があるのではないでしょうか。

●森康彰●2年間、保険代理店に勤めた後、2008年に保険コンサル会社㈲e.K.コンサルタントを設立。2014年に東京支社を設けるなど、首都圏へも業務を拡大中。 敬愛する人物は、稲森和夫、立川談志。

本誌:2020年11月23日号 13ページ

PAGETOP