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ジャーナル岡山市バス路線再編

具体案を事業者拒否 公正な協議市長に申し入れ

  • 岡山市長に申し入れする事業者代表ら

 公共交通の在り方について議論する「公共交通網形成協議会」の第7回協議会で岡山市が示したバス路線網再編の具体案について、バス事業者8社が大森雅夫岡山市長に抗議を申し入れた。

 市内で路線バスを運行する9社のうち、八晃運輸㈱(岡山市)を除く8社。実質的な事業者間の協議の場として協議会の前に毎回設けられていた幹事会が、具体案策定については招集されず、岡山市が個別事業者への聞き取りのみで取りまとめたことなどに強く異議を唱えた。その内容についても、提供した情報や要望が反映されていないとして改善を求めた。

 また路線、ダイヤの再編による効率化で2億4600万円の収支改善が見込まれるという試算が、固定費などを無視した現実とかけ離れたものになっている点、新型コロナウイルス感染拡大の影響など需要の前提が不明確な点、岡山電気軌道㈱(同)と中鉄バス㈱(同)が共同運行する国立病院線にこれまでの協議で取り上げられていなかった八晃運輸の参入がいきなり盛り込まれた点などについても強く抗議した。

 初めてほとんどの事業者が足並みをそろえるという異例の事態。バス事業者の市への不信感は募っており、このままでは協議会に対し不信任を出さざるを得ず、最悪次回協議会を欠席すると覚悟のほどを示した。

 申し入れを受けた大森市長は「意見を受け止め対応したい」とした一方、「来年度予算に向け歩みを進めたい」と来年2月の議会承認に間に合わせたい意向を強くにじませた。

信頼関係が崩壊

 各事業者が共通して問題視しているのが、市の姿勢。市は事業者を集めての幹事会に替えて、各社との個別協議で意見の集約を図ったが、市が伝える内容が事業者によって異なることなどに不信感が積み重なり、結果示された具体案が積み重ねた議論とかい離したものとなっていたことで不満が爆発した。

 一方、市は幹事会に見切りをつけた理由を「事業者間で対立するばかりで建設的な話にならず前に進まないと判断したため」(市幹部)としている。再編を進めるためにはやむなしという姿勢だ。

 しかし、下津井電鉄㈱(同)の永山久人社長は「バス会社は営業面では対立もあるが、公共交通機関として路線の維持を図るという共通目的のために長年培ってきた紳士協定があり、トップ同士ではつながりがあることを市は理解していないのではないか」と指摘。両備グループ(同)の小嶋光信代表も「共同運行など事業者間の調整はこれまでも行われており、各社が集まっての協議以外に意見を調整する方法はない」と強調している。

 結果、バス事業者から見れば「議論の機会がないまま、実態とかい離した赤字確実な素人再編案を結果ありきで押し付けられた」となったわけ。岡山商工会議所都市交通委員会の黒瀬仁志委員長も、「たとえ利用者のためでも事業として成り立たなければ、責任を負うのは事業者。満足な調整もなく事業性をないがしろにした案では、従業員の雇用も守らなければならない経営者として受け入れられるはずがない」と語気を強めている。

 ある事業者はこの事態を招いた要因として、市が掲げるバス路線の再編、都心の運賃値上げ(適正化)、高齢者・障害者の運賃割引―の3本柱セットでの実現を前提とした予算を2月議会で通すことにこだわっていることにあると指摘。ゴールありきではなく、しっかり議論を尽くすべきとしている。一方で岡山市は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で路線の維持がさらにきびしくなっていることから、スピード感をもって取り組まなければならないとしており、来年度に再編に着手したい考えだ。

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再編具体案

 岡山市が示したのは三野、高屋、西大寺、岡南、芳泉、妹尾、津高各方面と中心部についての再編案。都心部での重複解消のためのダイヤ調整や経路見直、廃止のほか、本線と支線への再編などを盛り込んだ。

本誌:2020年11月23日号 12ページ

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