WEB VISION OKAYAMA

巻頭特集おかやま工房、念願のアメリカ進出実現

ベーカリー開業支援で描く全米展開 アナハイムにモデル店開店 岡山ブランドも発信

  • テラス席も備える米国1号店
  • バラエティー豊かな日本式ベーカリー(本社併設の焼きたてパン広場リエゾン)
  • 河上祐隆社長

 ベーカリー開業支援の㈱おかやま工房(岡山市北区田中112-103、河上祐隆社長、資本金1000万円)が、7月1日、米カリフォルニア州アナハイムにベーカリーカフェ「OKAYAMA KOBO」とビアバー「BIZEN」を開業し、米国進出を果たす。同社が展開する開業支援事業リエゾンプロジェクトのモデル店の位置づけとなる直営店。同店を足掛かりに、河上社長念願の開業支援全米展開への挑戦を本格化する。

 店舗は大谷翔平選手が所属するMLBロサンゼルス・エンジェルスのホーム球場エンゼル・スタジアムから車で約10分の目抜き通りに立地。ビル1階の3店舗をつなげた約170㎡の店で、ベーカリーカフェでは日本と同様に豊富な総菜パンや菓子パン、焼き菓子などを販売。ビアバーでは、ビールに合うパンを中心に提供する。投資額は約4000万円。年間売上高目標は1億8000万円。開業希望者やオーナー事業家へのモデル店としてはもちろん、商品開発、市場調査などの役割も担う。

米国展開を一気に加速

 同社の米国展開への夢は、今に始まったことではない。開業支援を展開しようと2015年には同州ガーデナ市に現地法人「リエゾンプロジェクトUSAinc」を設立し、研修センターを整備した。しかし、モデル店がないことや現地の規制に対するノウハウ不足で、希望者は集まるものの出店に至らず苦戦。状況を変えたのは、丸亀製麺米国本土1号店など数々の飲食チェーン進出を手掛けた久木留隆秀氏の入社だった。アナハイム出店も、同ビルのオーナーが経営するラーメン店の開業を手掛けた同氏の紹介。オーナーがパンを試食し気に入ったことで、とんとん拍子に進んだという。

 同氏の持つ出店のノウハウと、モデル店の開業で、事業展開の条件はそろったと河上社長は意気込んでいる。

日本式ベーカリー展開の勝算

 あんパンから始まった日本ならではの自由な発想と研究熱心さから生まれた多彩な総菜パンや菓子パンは富裕層を中心に米国でも人気。すしからラーメン、スイーツまですそ野が広がる日本食ブームも追い風になる。

 一方、現地の日本式ベーカリーは、約30年前に出店ブームがあったものの、現地の職人が育たず日本人職人が高齢化し帰国、引退するなどして減少。現在はそこに中国、韓国系の日本式ベーカリーが進出しているが、質は低く、本格的な日本式ベーカリーは十分競争力があるという。さらに同社の無添加生地は、健康志向の富裕層好み。また不飽和脂肪酸を含むとして不人気なマーガリンやショートニングからバターに切り替えるなど一部改良。ブームとなっているグルテンフリーの焼き菓子も集客力が高いとみている。

 直営店出店を契機に、キッコーマン系列の食品工場「カリフォルニアライスセンター」でカレーフィリングの委託生産を開始。全米を視野に供給体制の構築も開始した。河上社長は「職人を育て、日本式ベーカリーを広げたい」とプロジェクト推進に意欲十分だ。

米国展開への熱い思い
可能性は日本以上にある
河上祐隆社長

 東南アジアから海外進出を進めてきたおかやま工房のベーカリー開業支援事業だが、米国展開はこれまでとは意気込みが異なるという。河上社長にその思いを聞いた。

―全米展開を目指す訳は。

 これまでの海外展開は、いずれもオファーに応えたものだったが、米国は自ら挑戦したかった市場。文化やスケールの大きさへのあこがれもあるが、何より日本以上に可能性のある市場と考えている。

―どこに可能性を感じているのか。

 パンを主食とする巨大市場で、個人的な意見だがパンがまずく、必ず質が高くバラエティー豊かな日本のパンが受け入れられると考えているからだ。味覚の違いはあるかもしれないが、現地で試食会を繰り返す中で、手ごたえは十分。特にカレーパンは人種、ルーツをまたいで断トツの人気で、専門店を展開しても成功できると感じるほど。自社でも一番得意なパンだけに、自信を深めている。

―今後の見通しは。

 すでにボストンで開業支援1号店出店計画が進んでいる。モデル店ができ、米国での開業支援実績の豊富な人材が入社したことで、展開を加速できると考えている。

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もう一つの挑戦 岡山産品発信

 河上社長は、同店で開業支援の足掛かりに加え、岡山発信にもチャレンジする。

 制服のエプロンは㈱Ray(岡山市)が児島で製造したデニム製、ビアジョッキに人間国宝山本陶秀氏の長男雄一氏らによる特注の備前焼を使用。メニューも㈱シーワン(同)が製造した吉備中央町産コシヒカリの米粉で作ったノングルテンの焼き菓子や宮下酒造㈱(同)の地ビール独歩を提供。今後も、ビアバーで提供する食材や、デニムや備前焼を販売する物販コーナーの商材など、取扱商品を増やしていく考えで、アメリカに進出したい地場企業などから募っていくとしている。

 ビルのオーナーの「日本で実績のあるおかやま工房の名称をそのまま使用した方が現地の人に受け入れられる」とのアドバイスがきっかけ。おかやま工房ブランドを定着させるには「岡山を知ってもらうことが不可欠。地域貢献もできる」と岡山の食や産業、文化を発信することを決めた。

 想定している客層は富裕層。メイドインジャパンへの信頼や文化への興味の高さから、十分にPRできるとみている。

開業支援事業実績
国内/185店
海外/12店
 インドネシア5店/中国4店/マレーシア1店/フィリピン1店/カナダ1店

企業概要
創業 1984年8月
事業内容 パン製造、販売。ベーカリー開業支援
従業員 88人
年間売上高 7億2664万円(2017.7期)

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